【酒井崇匡】「〇〇 増やし方」から読み解く日本人の傾向
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記事を執筆した博報堂生活総研の酒井です。検索データの中に潜む人々の「動詞」にフォーカスして今年1年を振り返り、来年を展望してみました。一言で言えば日本人は今年、老若男女問わず本当に多くのことをトライアルしました。新しい挑戦、疎かだったものの見直し、制約の中での楽しさ探しなどなど。
その一方で、失われたものもあります。特に記事後半に出てくる「自己を高めたい気持ちの減少」をどう捉えるか。承認欲求や他者評価からの開放なのか、それとも自粛生活が生み出した根源的な活力低下の現れなのか。
ぜひ皆さんが感じたことをコメントに残して頂ければ、研究への貴重な示唆とさせて頂きます。(もちろん、それ以外にお気づきの事があれば何でも!)
NewsPicksにはもう何度も寄稿していますが、Pickerの皆さんから(異論反論含め)様々なご意見が頂けるのが最大の楽しみです。
年の暮れにそれぞれの一年を振り返りながら読みやすい、ライトな記事です。宜しければぜひご笑覧ください!
注目のコメント
「名詞」でフォーカスしないで「動詞」を見る。
確かに、と思う部分が多い、興味深い分析結果でした。
「自己を高めたい気持ちの減少」をどう捉えるか、なのですが、リアルな世界での人や環境からの刺激が減少することによって、「現状の自己に疑問を持つ機会を喪失した」のではないかな、と私は思います。
たとえば、ネット書店でAIに過去の購買履歴からおすすめされる本を買うのと、本屋さんに足を運んで、今までの自分だったら買わなかった本に手を伸ばすのとでは、「現状の自己」を広げる機会の幅が違います。リアルな空間で日常的に体感する音・匂い・味、モニターに収まりきらない広がりある視界は、これまで自力では到達できなかった新しい環境への導線をつくっていたと思います。
うちも子どもを家でみるようになって、自宅生活の中で変化を切望し、金魚も飼いましたし、プランター菜園も挑戦しました。リモート生活で、環境での小さなきっかけが奪われたことが、「ふやす」「育てる」などへの欲求につながっているのではないかな、と感じました。
その一方で、自分の身の回りに関心が向くようになった人も多かったと思います。近くを散歩することが喜びだったとは!これまで見逃していたような四季の変化を新鮮に感じました。
最後のMUSTからWANTヘお話は、経済合理性を超えた内なる衝動によって、知らず知らずのうちに社会が変革されるアーティスト思考について書かれたこの記事のお話とつながる気がします。
「イノベーションを起こそうとしてイノベーションを起こした人はいない」
https://newspicks.com/news/5499981?ref=education
欠けてしまった環境要素を自ら補完するため、工夫しながら順応しようとする人間の姿が垣間見られた気がします。コロナを機に、「自分に自信を持つ方法」「好きな人に好かれる方法」など、自己肯定感や他者評価を高めたいという検索が軒並み減少しているとのこと。
物理的に新たな対人接点が減って、「他者に見られている自分」ということを意識する機会がなくなってきたのかなと思う。
今まで他者の眼差しによって「マイペース」が失われていた人にとっては、「自律」を取り戻す良いきっかけになるんじゃないかな。
そして、これを機に、他者から解放された「自由な自己表現」が世の中に増えてくる時代になるのかも…というのは期待しすぎだろうか。