新興企業が新株予約権 創業期の評価先送りで調達早く、ロボ・宇宙関連が活用
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お、J-KISSに対して政府もガイドラインを出すのでしょうか。これは事業会社の理解も相当深まりそうです。
シリコンバレーのKISSやSAFEに慣れている投資家らとの情報の非対称性があったので良い流れだと思います。
注目のコメント
マイナーバージョンアップを繰り返しつつ何年も前から使われている資金調達手段にて、「広がりそうだ」はややミスリーディングだろう。経産省もお墨付きを与える意味合いというよりも、モデル契約として条件面のマーケットスタンダードを発表するのだろう。
そもそもコンバーチブルノート、転換社債から始まり、日本では四半世紀以上前にJAFCOがそれに倣って「分離型新株予約権付転換社債」なるものを発明して米国のそれと同じ機能を持たせて運用してきた。
ただしそれらは所詮は社債なので満期や返済義務があるため、それが良い悪いの議論が生じて、7-8年ほど前から米国でYコンビネータ―がSAFEと名付けた価格変動型エクイティを発明し米国はじめ世界各地でスタンダード化している。日本ではコーラルさんがその点頑張りはじめてもう数年たつ。
なお
「投資家の利点は大きく2つある。1つは割安な価格で株を買えることだ。例えば割引率を20%に決めておけば、企業が成長して1株当たりの株価が10万円になっても8万円で買える。
2つ目は持ち分比率が減るのを防げる点だ。事前に企業価値の上限を2億円と決めておけば、実際の企業価値が6億円に上振れしても投資額に見合った保有比率を維持できる。」
これは間違い。この2つは同じ1つの目的である。つまりディスカウントもキャップも、持分の価格上方リスクをヘッジする同じ機能をそれぞれ率と絶対額のOR条件で設定しているものである。
よくある勘違いだが上場株と違って未上場スタートアップにとって株価は実務上はほぼ無意味。投資家も発行体経営者もたぶん覚えてすらいない。だから1点目は間違いで2点目と同目的。単に率と額の両方でヘッジしているのみ。シリコンバレーで発達したスタートアップならではのお悩みに対応した調達手段である新株予約権KISS。
その日本版であるJ-KISSも近年だいぶ浸透してきたように見えます。私が関与するスタートアップ、事業会社もそれぞれ調達側、出資側でJ-KISSを使っています。
スタートアップの起業家は、
“一刻も早く資金を調達したい”
“だけど、評価額の議論を始めると、投資家との交渉に長い時間がかかってしまう”
“でも、評価額が決まらないと、発行すべき株数も決まらないし・・・”
というお悩みを抱え、
一方の投資家側もバリュエーションに慣れたVCとは違いエンジェルや事業会社は
“一刻も早く資金を出してあげたい”
“だけど、スタートアップの適正な評価額(株価)なんてわからない”
“でも、評価額を決めてもらわないと、お金を出せないし・・・”
というお悩みを抱えています。これでは交渉がまとまりません。
そこで、評価(株価の決定)に関する難しくて詳細にわたる議論は、プロダクトや事業の輪郭が見え、バリュエーションがしやすくなってくるシリーズAのVCに対するファイナンスまで先延ばしして、シード段階では“とりあえず”資金だけ入れて(調達して)おこう、という考え方が生まれます。
こうした背景から生まれたのがKISSなど新株予約権を利用したファイナンス。
近年、日本のスタートアップファイナンスが活況を呈しているのは、資金を出してくれる投資家層の厚みが増してきたことに加えて、こうしたスタートアップならではの調達手法が一般化してきたことも寄与しています。弊社Degasもガイドライン内の事例紹介で掲載頂きました。新株予約権の発行はキャップやディスカウントなどのフィナンシャルメリット以外にも、設計が柔軟にできるという点があることにも注目です。例えば(間違ってたらすみません)堀江さんのISTなんかは、打ち上げ成功で丸紅が新株予約権を行使する設計になってたり(行使済)。
経産省ガイドライン:
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/open_innovation/convertible_guideline/guideline.vF.pdf