三菱重工が水素製鉄設備 CO2排出ゼロ、21年に欧州で
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世界最大級といっても年間25万トンの鉄鋼生産ですので、商業プラントの一桁小さい規模ですね。記事中にある各社のプラント計画も全て極めて小規模な実証プラントの計画なので、ここから商業プラントの規模にしていくにはかなり距離があることは認識しておかなければいけません。課題をあげつらう抵抗勢力になるつもりはありませんが、それと技術開発の実態を踏まえて議論するということは違うので。
(最近、あちこちで言われることですが、欧州では特にESG投資の波が高まっているので、各企業は投資家向けにかなり「勢いの良いこと」を言うようになっていて、技術の実態があまり表に出てきません)
また、そもそも水素をどこから持ってくるのか、また、DRI(直接還元鉄)に必要な純度の高い鉄鉱石の確保(高炉だと、鉄鉱石の中の不純物は溶けてスラグとして浮かぶのですが、直接還元だと溶けないので、鉄鉱石の中に入っている不純物を抜くことができないと聞きます。そのため、相当純度の高い鉄鉱石の取り合いになるとの懸念)なども課題。
そして、三菱重工さんが水素還元の技術を持っておられるとは聞いたことがありませんし、製鉄設備を全体として(圧延設備とかクレーンなど一部は製造されていたと思いますが)建設されたこともほとんどないのでは?
資本関係のある英国のプライメタルズさん次第なのでしょうか。もしそうなら、三菱重工さんの成長にどの程度寄与するのか・・・。
最近の日経さんの環境・エネルギー系の記事には、「環境で経済が回る」ありきで書いておられる記事も散見されるので、事実関係は確認したいところ。ただ、年末だからでしょうか、MHIさんのプレスリリースも出ていませんね。プライメタルズさんも出ていません。
EUのグリーンディールみても、気候変動対策を機に欧州鉄鋼業の巻き返しを図ろうとしている様子が見て取れます。日本の競争力につながるように、課題も含めて冷静な議論をしてほしいところです。日本はグリーン成長戦略にて水素製鉄を打ち出しているが、製鉄は鉄鉱石から酸素を取り出す際にコークスを使用するので温暖化排出量が多い。また水素への代替による排出量の削減が難しい分野。これが早期に実現すればこの分野で日系企業がマーケットをリードできる可能性が高まる。
その際に大事になってくるのは温暖化ガスを排出している企業とそうでない企業が国際市場で公平に競争する為に課税で調整する措置であり、国境調整炭素税が検討されている。昨年MHIが出資したプライメタルズテクノロジーズのDRI実証プラントですね。プロダクトやサービスの方が目に見えて分かりやすいですが、プロセス・イノベーションは従来のドミナントデザインの転換という設備投資を伴うものですので、黎明期には複数の技術方式が存在します。
高炉コンバージョンも手を打っていると思いますが、高炉レスのDRIにも対応出来て売りやすいモジュール方式も手掛けておくということでしょう。
・三菱日立製鉄機械がシーメンスの保有するプライメタルズテクノロジーズ株式を取得
https://www.mhi.com/jp/news/19100102.html
・微粉精鉱による、CO2を排出しない水素ベースの画期的な直接還元技術を開発
https://www.primetals.com/fileadmin/user_upload/press-releases/2019/20190626/PR2019061901jp.pdf