この連載について
2020年はあらゆる産業がコロナ禍によって痛手を被った。そこからどのように、新しい展望を開いていくのか。ビジネス・テクノロジー・経済の先行きを、各業界に精通する有識者が大胆に予測する。
この連載の記事一覧

【論考】シェアリングエコノミーの「信頼」をどう作るか
NewsPicks編集部 371Picks

【アート】差別への問題意識がシーンを動かす
NewsPicks編集部 275Picks

【論考】大阪万博に見る「次のプラットフォーマー」の条件
NewsPicks編集部 594Picks

【音楽業界】競争激化のストリーミング市場で突き抜けるには
NewsPicks編集部 382Picks

【eスポーツ】ゲームが「ビジネスツール」として使われる日
NewsPicks編集部 390Picks

【激戦】「ahamoショック」に追い詰められる楽天とMVNO
NewsPicks編集部 571Picks

【ナイトライフ】逆境を生き抜く「新宿・歌舞伎町」の底力
NewsPicks編集部 343Picks

【物流】EC企業の「自社配送」が業界にもたらす激震
NewsPicks編集部 792Picks

【2030年】イーロン・マスクも注目する「教育の最前線」
NewsPicks編集部 1391Picks

【核心】生殖補助医療法はなぜ「残念な法律」なのか
NewsPicks編集部 223Picks
ただ実は京都は、長年に渡って、観光客のボラティリティを平準化すべく、季節の分散化や、場所の分散化を進めていました。
この分散化策の考え方は、新型コロナウイルスへの感染回避にも参考になると、市長のお話を聞いて感じました。ぜひ、ご一読ください。
要素は「季節・時間・場所」と全く同じ。
例えば時間で言うと、日帰りと宿泊という視点もそうだが、稼働時間という観点で見てみたい。
観光業の主たる担い手である飲食業を例に取ると、昼と夜のピークタイムが2回というビジネスモデルで成り立っている。このピークタイムの密を減らせと言われているわけで、単純に減らすと売り上げは下がるだけ。であれば、間の稼働してなかったアイドルタイムを薄く稼働させることで、売り上げの「面積」を増やせないか、という考え方。つまり「通し営業」を増やせないかということだ。
ただ、言うは易しだが、実際には通し営業してもお客さんがいないと成立しない。
ここで必要となるのが、官民合わせた取り組みで、いまこそ大胆な働き改革とセットで考えるべきと思う。
テレワークが当たり前になり、ジョブ型の働き方が定着すれば、人々は時間に囚われることなく働くことができる。そうすれば14時にランチをしようが、16時に仕事を終えてワインを飲もうが自由なわけだ。
これを行政が補助金つけるなりして奨励し、雇用主である会社がそれを許す。特区制度を使ってでもいいから、地域で取り組む。
事業者も個人も時間の拘束から解き放たれることで、飲食業の稼働時間分散もようやく成立するというわけだ。
言うまでもないが、そうなれば、そもそもあまり時間に囚われない観光客にとっても、飲食の選択肢は広がる。
季節の分散も同様だ。いくら観光事業者が分散したくとも、お客さんが来なければ成立しない。やはり官民が休暇に対する考え方をドラスティックに変える必要がある。
休暇取得のイニシアチブを完全に個人に委ね、個人は業績にコミットした形で自由に休みを取る。そうすれば自ずと空いててリーズナブルな期間に休暇は分散するはずだ。
チームメンバーや顧客とのコミュニケーションを問題視する向きもあろうが、それも含めて個人がマネージするのだ。
組織が自身の役割を過大認識し、規制やルールでがんじがらめにする時代とおさらばし、個人も組織に頼って思考停止していた自分とおさらばする。互いがぐっと前に踏み出すことで、見えてくる世界はあると思うし、コロナ禍であらゆることをリセットできる今だからこそ、取り組めることでもあると思う。
水は軟水で昆布出汁がおいしい。その水で育つ京野菜は一つひとつにほのかな味わいがある。京都は自然のやさしさ、恵みを感じさせてくれます。