1963年Japan's New Middle Class; the Salary Man and his Family in a Tokyo Suburb 1975年Modern Japanese Organization and Decision-making 1979年Japan as Number One: Lessons for America 1989年One Step Ahead in China: Guangdong under Reform. 1990年Chinese Society on the Eve of Tiananmen: The Impact of Reform. , with Deborah Davis 1993年The Four Little Dragons: The Spread of Industrialization in East Asia 1997年Living with China : U.S./China Relations in the Twenty-First Century. 2000年Is Japan Still Number One? 2011年Deng Xiaoping and the Transformation of China 2011年The Park Chung Hee Era : The Transformation of South Korea 2019年China and Japan: Facing History (主要なもののみ)
しかしその3年前に通った慶応ビジネススクールで私の指導教官は、飛びぬけた高成長はその要因を考えればやがて当然に終わること、高度経済成長が終われば日本的雇用慣行は維持できずやがて日本の弱みに変わること、政府主導の産業政策は日本が先進国を追って成長している間は良いけれど、自らブレークスルーしなければならない時代になると却って日本の成長力を落としかねないことを既に語ってくれました。早世されたのが残念ですが、思えば凄い先見の明。
私も喜んで、そして誇りを感じつつジャパン・アズ・ナンバーワンを読んだけど、そうした教えが事前にあったので、もう外国に学ぶことは無いという当時の風潮に違和感を覚えたのも事実です。残念ながら私の先生の予見と私が感じた違和感は、プラザ合意からバブル経済を経て行き着いた平成の停滞で、残念ながら当たってしまったみたいです。
ジャパン・アズ・ナンバーワン、この先も忘れることのない懐かしい書名です。ご冥福を祈ります。
この頃のビジネス書の主だったものを挙げると、パスカルとエイソスの『ジャパニーズ・マネジメント』とウィリアム・オオウチの『セオリーZ』が1981年、ディールとケネディの『シンボリック・マネジャー』、ピーターズとウォータマンの『エクセレント・カンパニー』が1983年、でした。考えてみれば、ヴォーゲルの著作はその先駆けとなったものなのだなと思いました。
いずれも、オイルショック後の日本的経営の台頭、席巻について、日本企業のもつ、独自の企業文化や社会に目を向けて産業全般の制度自体の変革を考察した著作で、いかに当時の日本的経営が企業経営に大きな影響を与えているかがよく分かるものでした。
約40年が経過して、かつてのこうした日本的経営への注目は完全に消え去りましたが、こうした一連の著作や研究を通じて、アメリカの企業・産業が徐々に変革に取り組んできた成果でもあるとも言えると思います。
日本の変革はこれからですね。
特に2011年以降の三冊は読む価値が高い本だと思います。同氏が日本ではジャパンアズナンバーワンと連想しすぎて語られすぎるのもどうかと感じています。
1963年Japan's New Middle Class; the Salary Man and his Family in a Tokyo Suburb
1975年Modern Japanese Organization and Decision-making
1979年Japan as Number One: Lessons for America
1989年One Step Ahead in China: Guangdong under Reform.
1990年Chinese Society on the Eve of Tiananmen: The Impact of Reform. , with Deborah Davis
1993年The Four Little Dragons: The Spread of Industrialization in East Asia
1997年Living with China : U.S./China Relations in the Twenty-First Century.
2000年Is Japan Still Number One?
2011年Deng Xiaoping and the Transformation of China
2011年The Park Chung Hee Era : The Transformation of South Korea
2019年China and Japan: Facing History
(主要なもののみ)
なお、日本人の存在感は確実に縮小しましたが、日本企業がケーススタディに出てくる頻度は高いです。半導体市場を席巻した日本の総合電機メーカー、初期のPC市場で存在感のあったNEC/東芝/富士通、任天堂のプラットフォーム戦略、トヨタ生産方式、JR東日本の清掃員の奇跡の業務クオリティの話、などなど。
ちなみに、政治的な要因もあるのか、中国企業のケーススタディなどはあまり見たことがありません。中国人留学生はインドと並んで多かったですが、昨今の外交関係により、今後どうなっていくのか未知数です。
また、あとがきに書かれていた、書籍完成後のエズラ・ボーゲルさんの「僕は次は、何を研究しようかな!」という言葉が強く印象に残っています。屈託のない無尽の好奇心。研究者のあるべき姿を感じていました。
ご冥福をお祈りします。