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ジャパン・アズ・ナンバーワンが出た1979年は私がアメリカのビジネススクールで学んでいた年で、1973年のオイルショックでさしもの高度経済成長は終わったものの、日本はまだ年間10%前後の高い名目成長率を誇り、米国はベトナム戦争の後遺症でなんとなく暗いムードにあったころ。当時の日本は本当に強かった。米国のビジネススクールは競って日本人学生を募り、日本的雇用慣行や日本の産業政策を語らせたものでした。厳しい受験競争でがり勉と揶揄されつつも初等中等教育段階の学力は世界トップクラスを保ち、日本人であることが本当に誇らしかった時代です。
しかしその3年前に通った慶応ビジネススクールで私の指導教官は、飛びぬけた高成長はその要因を考えればやがて当然に終わること、高度経済成長が終われば日本的雇用慣行は維持できずやがて日本の弱みに変わること、政府主導の産業政策は日本が先進国を追って成長している間は良いけれど、自らブレークスルーしなければならない時代になると却って日本の成長力を落としかねないことを既に語ってくれました。早世されたのが残念ですが、思えば凄い先見の明。
私も喜んで、そして誇りを感じつつジャパン・アズ・ナンバーワンを読んだけど、そうした教えが事前にあったので、もう外国に学ぶことは無いという当時の風潮に違和感を覚えたのも事実です。残念ながら私の先生の予見と私が感じた違和感は、プラザ合意からバブル経済を経て行き着いた平成の停滞で、残念ながら当たってしまったみたいです。
ジャパン・アズ・ナンバーワン、この先も忘れることのない懐かしい書名です。ご冥福を祈ります。
この本が書かれたのは1979年でした。
この頃のビジネス書の主だったものを挙げると、パスカルとエイソスの『ジャパニーズ・マネジメント』とウィリアム・オオウチの『セオリーZ』が1981年、ディールとケネディの『シンボリック・マネジャー』、ピーターズとウォータマンの『エクセレント・カンパニー』が1983年、でした。考えてみれば、ヴォーゲルの著作はその先駆けとなったものなのだなと思いました。
いずれも、オイルショック後の日本的経営の台頭、席巻について、日本企業のもつ、独自の企業文化や社会に目を向けて産業全般の制度自体の変革を考察した著作で、いかに当時の日本的経営が企業経営に大きな影響を与えているかがよく分かるものでした。
約40年が経過して、かつてのこうした日本的経営への注目は完全に消え去りましたが、こうした一連の著作や研究を通じて、アメリカの企業・産業が徐々に変革に取り組んできた成果でもあるとも言えると思います。

日本の変革はこれからですね。
東アジア研究における米国屈指の研究者で、私のメンターで友人でもあるエズラ・ボーゲル教授の訃報を非常に残念に思う。ボーゲル教授は特に日本と中国研究の第一人者として、日米関係の理解と米中の二国間関係の発展に大きく貢献され、その功績は今後も語り継がれることになるだろう。我々ジャパン・ソサエティーもボーゲル教授とご縁をいただき、スピーカーとしてご登壇いただく機会を頂戴するとともに、1998年にはその功績を称え、ジャパン・ソサエティー賞を授与させていただいた。先週電話でお話した際にボーゲル教授にいただいた、「ジャパン・ソサエティー理事長の役職は、まさしく私が君に取り組んでほしいことだ」というお言葉を胸に、今後も日米関係の相互理解の促進に邁進していきたいと思う。心よりご冥福をお祈りいたします。
正に「知の巨人」失った、残念な訃報。昨年、700項にわたるJapan and China(日本語訳『日中関係史 1500年の交流から読むアジアの未来』)という大作を出されたばかり。半世紀に亘るご研究の叡智が詰まった重厚な一冊、是非手に取ってみてください。RIP.
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の英語のオリジナルの方の副題は「Lessons for America」。今読むと、日本の経済成長が輝かしかった時代の「おとぎ話」。もちろん、その後のバブル期もバブル後もここまでに至るボーゲル氏の視座は日米関係にとって欠かせない存在でした。
ボーゲル氏の著作のタイトルを追っていくと興味深いものがあります。日本ではジャパンアズナンバーワンが今もって有名ですが、中国や韓国の専門家でもあります。いくつか著名な著作をピックアップしました。ジャパンアズナンバーワンの後には中国関連の著作があり、2011年は鄧小平と朴正煕の本、そして、2019年は日中についての本です。これは、東アジアにおけるパワーの推移を同氏がどのようにみていたか、という手掛かりにもなります。

特に2011年以降の三冊は読む価値が高い本だと思います。同氏が日本ではジャパンアズナンバーワンと連想しすぎて語られすぎるのもどうかと感じています。

1963年Japan's New Middle Class; the Salary Man and his Family in a Tokyo Suburb
1975年Modern Japanese Organization and Decision-making
1979年Japan as Number One: Lessons for America
1989年One Step Ahead in China: Guangdong under Reform.
1990年Chinese Society on the Eve of Tiananmen: The Impact of Reform. , with Deborah Davis
1993年The Four Little Dragons: The Spread of Industrialization in East Asia
1997年Living with China : U.S./China Relations in the Twenty-First Century.
2000年Is Japan Still Number One?
2011年Deng Xiaoping and the Transformation of China
2011年The Park Chung Hee Era : The Transformation of South Korea
2019年China and Japan: Facing History
(主要なもののみ)
なんと。ボストン時代、ボーゲル先生は毎月ハーバード大学近くの私邸に日本人留学生を招いて「ボーゲル塾」を開き、日本や世界の未来について議論の場を作ってくださっていました。僕も理系の若造ながら何度かお邪魔させていただきました。ボーゲル先生は自分から意見することは少なく、揺り椅子に座って静かに微笑みながら議論を聞いていました。10年前のことです。そのメンバーが、今は国会議員になってたり会社をやってたりしています。学者にはいろんなタイプの人がいますが、彼は周りに自然と人が集まって議論が始まる、そんなタイプの方でした。ご冥福をお祈りします。
昔はアメリカのビジネススクールは日本人が席巻しており、各校で数十人、全体で数百人在籍していた時代があったと聞きます。今は各校10人以下です(うちの学校は毎年5人程度)。

なお、日本人の存在感は確実に縮小しましたが、日本企業がケーススタディに出てくる頻度は高いです。半導体市場を席巻した日本の総合電機メーカー、初期のPC市場で存在感のあったNEC/東芝/富士通、任天堂のプラットフォーム戦略、トヨタ生産方式、JR東日本の清掃員の奇跡の業務クオリティの話、などなど。

ちなみに、政治的な要因もあるのか、中国企業のケーススタディなどはあまり見たことがありません。中国人留学生はインドと並んで多かったですが、昨今の外交関係により、今後どうなっていくのか未知数です。
「鄧小平」も好きな著書です。中国が民主化する背景をとてつもない粒度で知ることができます。個人的には、何度も何度も立ち上がる鄧小平さんの政治的なガッツに驚かされました。

また、あとがきに書かれていた、書籍完成後のエズラ・ボーゲルさんの「僕は次は、何を研究しようかな!」という言葉が強く印象に残っています。屈託のない無尽の好奇心。研究者のあるべき姿を感じていました。

ご冥福をお祈りします。
勘違いの始まりか