無形文化遺産に「工匠の技」決定 伝統建築守る17技術、ユネスコ
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これはほんと素晴らしいことだというのと同時に、地方の衰退やコロナによる離散化などの問題とパラレルなトピックでもある。こうした地方で必要とされることが多い伝統産業という技術や知見、いわば無形文化財は、その職業の選択と技の取得が、現状で自分の身体もしくは人生の選択と1:1に対応することが前提とされているのが大きな問題。もちろん職人という性質上、人生のすべてをそこに賭けて道を極めてほしい気も否めないとは言え、そういう形もやはり時代に合わせていかないと、むしろその技の絶滅を早めてしまうことになる。
全人生を賭けるか否かの二択の強要でははく、80%、50%、20%といった段階的な貢献の形を許容するシステムを、もっと社会の側が貢献していく必要がある。100か0かを求めたら、実は80%は貢献したいと思いつつ、譲れない20%がある人を軒並み排除してしまうことになる。100%にこだわるあまり継承者が激減する状態よりは、個々の習得度は80%だったり50%だったり20%の間接的なアシストをしたかったりする人を広く集めるほうが、総量としては100%だけにこだわった時よりも多く維持できる可能性は高まるはず。積分値としても社会的なサステナビリティとしても、小さな貢献を拾い集めることでより太く長くその文化や技術を残す形は、今のネットワーク技術ならきっと作れる。
昨今のスマートシティの議論も構図は同じで、都会か田舎かをAll or Nothingで求めてしまえば、実は20%でも50%でも地方や地元の経済や文化、自然環境を利用し貢献したいと思っている人を軒並み排除してしまう。そういう人たちに離散化や流動化、多層化の選択肢を都会にも田舎にも双方向的に提供することで、はじめて離散的ロングテール貢献の集積としての地方文化や経済の維持が可能になる。スマートシティも伝統産業も都市やマジョリティの構造だけを見ていたら絶対に失敗する。郊外や地方にも対等なプラットフォームを提供してはじめて、社会的な価値になる。
こうした伝統産業の職業選択も同様で、継承に興味のある人に白か黒かで現代社会の利点をあきらめることを強要していては、その文化の絶滅を早めるだけ。二択ではないさまざまな貢献度や方法の在り方を積極的に許容し、その総量を維持する方向に、社会とそのプラットフォームをデザインしていきたい。これは素晴らしいですね。登録勧告の時点で↓の記事でもコメントさせていただきましたが、日本の建築は、意匠はもちろんのこと、それを実現する施工の技術も世界トップレベル(木造建築については世界一だと思う)。願わくば、日本建築の技術の粋を凝縮したような組物とか継の技術もこの17分野に入ってほしかったところですが、それにしても、「和食」と同様、こうした形で日本の無形文化資産が世界に認められたということを誇らしいと思います。
https://newspicks.com/news/5395482