「宇宙予算の6%で大成功」歴史的快挙を遂げた"はやぶさ2"のすごいコスパ
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コストパフォーマンスという言葉の裏には、科学的知見を現時点の価格で割って単価を出すような思想があるわけですが、貧困な発想だなぁと思います。見出しを付けた雑誌のレベルが知れる、というわけですが…
注目のコメント
川口先生のもとで「はやぶさ」に関わらせていただいた身としては、この記事に書いてあることは是非皆さんに知って欲しい。これが日本の宇宙産業であり、多くの企業が宇宙事業から撤退し、ついでに私も宇宙産業にエンジニアとして止まるのではなく、グローバルやビジネスを志すようになった背景なのだから。
「はやぶさ」はここにかいてある低予算であるがゆえ、知恵を絞って、最小のコストで最大の成果を狙ったからこそ生まれた企画であり、あらゆるチャレンジを詰め込んだものになったのです。
コスパ、という言葉にあるように、やもすると日本においては「美談」として語られてしまうことが多いですが、そうではありません。この成果を次につなげる際はコスパも大事ですが、技術開発に加えて、スケールや持続性の視点が不可欠だと思います。
JAXAだけではこの課題は乗り越えられません。政府だけではなく、産学連携だけではなく、日本全体のエコシステムをフル稼働して、宇宙開発の意義を再定義し、次のステージへ引っ張っていく必要があります。はやぶさはそのきっかけを日本にくれた類稀なる存在です。
最後にこの言葉は心揺さぶられました。
「予見可能性」型の宇宙開発は政治のトップダウンで決まっているが、宇宙研はボトムアップだ。
本当にそうだと思います。ただ、予算に関してはトップダウンなのです。だからこそ優秀なエンジニアが予算確保のために、途方もない時間をかけることになる。スタートアップでいえば、起業家のビジネスを磨き込む時間を奪い、投資家との対話や資金調達ばかりに時間を使わざるを得ない状況と同じです。少し前の日本のスタートアップエコシステムの状況は宇宙産業ではまだ放置されているように思います。はやぶさ2が今回のプロジェクトをコスパ良く終えたので宇宙予算ひいては科学技術研究予算を減らして良いという風潮になることを危惧する(杞憂であって欲しい)。仮に著しく優秀な人材が効率的に投入されたとしても、それこそ「教科書を書き換える」や「教科書に新たに追加する」ような研究開発に挑戦する限り大きなリスクを伴うし、このような挑戦的なプロジェクトは様々な分野で広く行うのが理想。
>引用
『はやぶさ」初号機の計画は1980年代半ばに始まったが、あまりに複雑で欲張った計画に「できるはずがない」と見る人が多かった。プロジェクトを率いた川口淳一郎・JAXAシニアフェローは、物静かな印象の人だが、ひとたび口を開くと、熱い思いがほとばしり出る。「教科書に書いてあることは古いこと」「高い塔をたててみなければ、新たな水平線は見えてこない」など、新たな挑戦への意義や意欲を説く。』タイトルの通り。本当にすごいです。
一方で、その裏には宇宙研エンジニアの安月給と超長時間労働、メーカーのコスト度外視受注があることも事実。
美談にしてはいけない。持続可能なモデルとは思えません。