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悪化した財政を金融で維持することは可能ですが、その分、本来なら民間部門に向かうべき資源が乏しくなる。結果、経済成長を担う民間部門の活力が削がれて景気は構造的に停滞する。
日米欧、いずれも同様の構図にあり、コロナでさらにそれが強まった。米国は派遣国としての賞味期限を抱えている。欧州は財政統合が進まない。日本は圧倒的に公的債務が大きい。赤信号、みんなで渡れば怖くないとはいえ、この中で誰が「壮絶な通貨安」のババを引くか、ということなんだと考えます。
なお日本が通貨安で得られるマクロ的なメリットですが、貿易黒字国ではない(経常黒字国ですけど)ので、余りないと言えます。むしろ所得流出です。
外国から借金せず国民からだけ借金し、しかも日本の通貨である円で借金する政府が財政で行き詰るはずがない、という声が聞こえてきそうですが、本当か (・・?
人々が国内で生み出したモノとサービスの価値、つまり日本のGDP(国内総“生産”)を政府と国民が分けて使っている限り、政府が国民から借金して税収以上に使っても、民間が同額以上を節約していますから、大きな問題は起きません。しかしGDPが減って政府の取り分(税収)も民間の取り分(税金を払った残り)も減る中、政府が巨額の国債を発行して国民でなく日銀に買わせてお金を配って民間に使わせたらどうなるか。政府と民間が費消するモノとサービスが我が国の生み出すモノとサービスの合計を超え続けたら、国全体が赤字になって、我が国はいずれ外国から借金して不足分のモノとサービスを買うしかなくなります。
今は未だ過去の国全体の蓄えが対外債権として350兆円ほどありますし、貿易収支が均衡状態で、海外で稼ぐ所得収支が経常収支の黒字を支えていますので、政府は過去の蓄えを取り崩すなり新たな借金で将来のGDPを先食いするなりして赤字を拡大することも可能です。しかし年間500兆円かそこらのGDPに対し、単年度で100兆円もの新たな借金というのは流石に持続不可能です。政府が使うカネは、どんな言いわけをしようとGDPの民間の取り分を減らします。政府が民間以上に賢くカネが使えるとは思えませんので、これは、我が国の将来の成長力を落とすことに繋がります。
緊急事態を理由に膨らませた財政支出は簡単には元に戻せません。国民がよくよく監視していないと、将来の成長に資する民間の資金が政府に奪われて、若い皆さんの将来が暗いものになりますよ・・・ (/_;)
ただ、内閣府の試算によれば、足元のデフレギャップは年換算で34兆円以上あるようですから、これが正しければ完全雇用には程遠く、当面予算制約はない状況といえるでしょう。
ただ、せっかく使うのであれば、効果的に使った方がいいと思います。
14兆円の国債の追加発行も異例な規模だが、既に12月8日に閣議決定された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」では、第3次補正予算で19.2兆円の歳出の追加を行うことを決めていたから、それよりかは下回った形だ。その差は、
国の第3次補正予算、注目すべき「6つの焦点」
https://newspicks.com/news/5412170
に記されたとおり、不用となる見込みの既定経費の削減などで国債増発を5兆円ほど抑制した形になっているだろう。
それにしても、第2次補正予算までの予備費がまだ6兆円残っているのに、歳出の純増で14兆円の国債増発するというのは、どういうことなのだろうか。予算には盛るだけ盛って、決算段階で不用にして事後的に歳出をカットした形にして政治圧力をかわそうということだろうか。
普通に考えて、増税か、デフォルトか、ハイパーインフレしかないように思えるのですが、間違っているでしょうか?
【20年度税収、8兆円下振れ55兆円前後に 国債100兆円超】
https://newspicks.com/news/5449676
そして、本件。政府は2020年度の新規国債発行額を112兆円超とする調整に入ったとのこと。これまで最大だった09年度の52兆円の2倍超に。非常に大きな金額となります。
とにかく借金をするな、減らせと小学生並みの事しか言えない経済評論家やマスコミが多いのが、日本の不幸か。
コロナ治療費は有料、ワクチンは自分持ち、休業補償なし。
倒産が相次ぎ、大恐慌。世界は1929年に経験済み。
ただ、コロナ後の経済運営はかなり難しい。コロナの前の2019年秋の消費税増税で、GDPはすでに下降していた。私はデジタル政府による効率アップに期待している。せっかくの政府支出が、役人の給料に使われてしまうようでは最悪だ。