テスラ、株式時価総額が初めて5000億ドル突破-年初来で547%上昇
コメント
選択しているユーザー
表面的な数字に思わず目が行きがちですが、テスラの提供しているサービスは首尾一貫したユーザー視点であること、そして、ユーザーインボルブメントのある顧客体験であることは、正直な印象では、真似のできないビジネスモデルです。既に自動車選択の価値観は変わり始めているのは分かりきっているけれど、そこに舵を切れないのは、イノベーションのジレンマがそこにあることを示しています。破壊的な成長を遂げるために取捨選択ができるか、経営者には問われています。
注目のコメント
テスラは元々、三洋電機と組んで民生品向けに量産された18650サイズの円筒型セルをEVに転用し、そこで培った液冷温度管理やBMSのソフトウェアといった制御技術に強みを持っています。
つまり、テスラはバッテリーメーカーでは無いにも関わらず、バッテリーを起点とした多用途展開が出来ているのは、セルをコモディティとするバッテリー制御技術にあります。そして最近は排熱の有効利用も視野に入れてますので、もっと言うとエネルギー制御技術に長けた企業ということに。
ただし、家庭用のパワーウォールまでは同じセルを使ってましたが、生産が追い付かないことも有り、産業用のピークカット向けの豪ホーンズデール等のメガパックには、Samsung SDIの2170セルを採用しました。こちらはパナソニックのNCAとは異なりNCMで、どちらもNi比率を高めております。
なぜセルの調達先と組成の話をしたかというと、これがテスラの今後に影響する可能性があるためで、今まではパナソニックの単独供給だったバッテリー・セルも、メガパックではSamsung SDI、先日発表された上海製のモデルYはLG Chemが独占供給し、モデル3はCATL製のLFP正極を採用している状況になり、今まで以上に品質管理にコストが掛かるからです。
年間50万台以下のEVメーカーでしたら、そこまで心配する必要は無いかもしれませんが、今後生産台数も伸び、定置用も家庭用から産業用途まで拡大していく中で、セル調達の多様化というのはコストメリットは有りますが、品質管理の面からは想像に絶する苦労をすると思われます。
テスラがメーカーである以上、製品品質に一定のコストを支払うことは避けては通れない一面もあることは忘れてはならないと思います。
そしてコモディティ化させたセルも、将来的にブレイクスルーが見込まれます。次世代電池です。ここにも抜け目なくテスラは投資をしていますが、こればかりは予測不能です。Battery Dayで当初期待されていたのは、遂にテスラが次世代バッテリーを発表するのではないか!?ということでしたが、円筒型セルの大型化とNi100%正極のCell to Bodyパッケージングという、実に実直な製品開発計画の発表でした。
テスラのバッテリーに関する現在地について書かせて頂きました。クルマメーカーの価値としては割高感は否めません。ピュア電気自動車は今後、各社からどんどん登場します。
株価の上昇を見る限り、テスラの革新力に人々が期待しているということでしょうね。株価や時価総額が上がったという記事ばかりではなく、中期戦略や開発状況、販売台数とかファンダメンタルズに触れた記事も増えてほしい。重要なのはテスラがどう世界を変えていく可能性があるのか