【スライド解説】黒船上陸か。ゼロからわかる精子バンク
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産婦人科医として素直に言いますが、この分野に医療機関が踏み出す時には、「身を守る」しかないのが現実です。
法整備がなされていない現状でも、非配偶者間人工受精(AID)は行われてしましたが、現在様々なところで「出自を知る権利」が問われ、また裁判にもなっています。しかし契約時、精子提供者は「出自を明かされない」契約でやっていますから、これを今更明かせと言うのもおかしな話です。
これはすごく日本らしいお話で、一部のクリニックでAIDが行われていたのは確かに法的にグレーでした。しかし暗黙の了解で「うまくいっていた」のです。故に法整備もされないまま、曖昧なままでここまできました。その子供たちが大人になり、「出自を知る権利」に対して声をあげ、さらに法的問題になって初めて、法的な議論が「スタート」したのです。
どう考えても将来問題になるのは分かっていましたし、指摘もされていました。しかしその時「うまくいっていた」ので、曖昧なままでされ続けた。
そうしてこの問題が生じています。今の制度ではこれ以上進めるのは難しいでしょう。早急な法整備が望まれます。NPのスライド解説はいつもとてもわかりやすく勉強になります。YouTubeを使ってサイエンスコミュニケーションをしている立場として気になったのが、子供に精子バンクを利用したことを伝える場面にまつわるエピソードです。
周囲に無精子症を知られたくなくて子供に隠してしまう例があるとなると、課題は不妊に対する世間の理解度が低いことと、子供に生殖や不妊に関して説明することの難しさがあるように思いました。
前者に関しては明快な打ち手が今思いつかないのですが、後者に関しては子供に伝えるための絵本のようなものがあったら良いのかもしれないと思いました。海外でどのような試みが行われているのかが気になります。精子提供とはなにかから問題点まで、ものすごくわかりやすくまとまっています。
ルールがないがゆえに、医療の進歩が社会に還元されきれていないのが日本の現状。
今回の法案提出も大事な一歩、これをきっかけに、時代に即したルールが制定されるよう期待します。