かぜ薬、65%が誤解 ウイルス倒さず、正しく服用を
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風邪の季節になりました。
2 歳未満の子どもは年間約6回、成人では 2-3回、高齢者では年間1 回の風邪にかかるという報告があります(※1)。
秋から冬にかけての『鼻風邪』の多くはライノウイルスといわれるウイルスにより起こります。100種類以上も存在するので、繰り返しかかるのですね。
(※1)Cmaj 2014; 186:190-9.
風邪薬に含まれる多くの薬効成分は、『効果が乏しい』こともわかっていますし、2歳未満の子どもへの風邪薬を禁止する動きもあります(※2)。
(※2)Use Caution When Giving Cough and Cold Products to Kids
https://www.fda.gov/drugs/special-features/use-caution-when-giving-cough-and-cold-products-kids
健康な成人ボランティア153人に対し、ライノウイルスを鼻に接種して風邪を発症するかをみたという研究では、睡眠不足で大きく感染リスクがあがることがわかっていますので、やっぱり睡眠をしっかりとっておくことが風邪薬に勝るのではないかなあと思います。
(※3)Arch Intern Med 2009; 169:62-7.
日本語訳 https://pediatric-allergy.com/2020/11/15/sleep-habits/2/この記事に既に書いてありますが、市販の風邪薬は症状を抑えるだけで、根本的な治療にはなっていません。
また、何でもかんでも「抗生物質を!」という患者さんがおり、それに答えてしまう医者もいるようですが抗生物質は細菌が原因のものにしか効きません。なので、通常の風邪はもちろんのことインフルエンザやコロナなどウイルスが原因のものには役に立たないどころか、細菌が耐性を持ってしまいます。単なる風邪に前に飲み残した抗生物質を飲む、なんて絶対にやめたほうが良いです。
くすりの話 2 抗生物質ってなに?
https://www.min-iren.gr.jp/?p=26736
ちなみに、細菌とウイルスの混同もたまに見られるので注意が必要です。
細菌とウイルス
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-2.html
ちなみに、私も
an apple a day keeps the doctor away
ということわざを信じて、昔はりんごを食べすぎで気分悪くなるのを我慢して食べていたものです。海外にいってみて、海外のりんごは日本のりんごより相当小さいことを知りました。そりゃあ、1日1個食べられるわ。と思いました。>市販のかぜ薬が細菌やウイルスを倒すかどうか聞いたところ、30%が「すべての薬に当てはまる」、35%が「一部の薬に当てはまる」と回答。
いや、記事を書いてる方も細菌やウイルスを区別できていなさそうですが、、、なんて思いましたが。
たしかに市販薬にはそもそも抗菌薬が外用以外ないので、風邪薬に抗菌薬も含んで把握している人もいそうとか深読みしてしまっても、答えはいちおう1つになりますね。
風邪≒ウイルス性上気道炎
風邪薬≒対症療法薬。症状を緩和する薬(その効果自体も怪しい)
抗菌薬≒細菌に効く薬
抗生物質=細菌が作る微生物(主に細菌)に効く物質
風邪薬を飲んで風邪が早く治ることはありません。点滴も同様です。かといって文中にあるようなかえって長引かせるという根拠もよくわかりません。
(個人的には風邪薬を飲むことはまずなく、あまりに鼻水が多い時に抗ヒスタミン剤という「風邪薬」の一種を飲む程度)
なお、賛否あるかもしれませんが、外来診療しかできないシチュエーションで扁桃炎・丹毒と膀胱炎以外には抗菌薬を処方する可能性は限りなくゼロに近いのでハッキリ病名を伝えられていない状況での抗菌薬使用は考えにくいです。
あとは第3世代セフェムやキノロン系といった薬剤を使用することもまずないことも付け加えておきます。
(後ろの2段落は余計な情報かもしれませんが、安易な抗菌薬使用は避けた方がよいということだけ、少し知っておいていただければ)