「選挙人」実質廃止の動き=得票総数で勝敗を―15州と首都が協定加入・米大統領選
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この記事だとわかりづらいからこちらの記事を読むべきかと。
もちろんコメント欄にもある通り、本提案は基本的に民主党支持派が多数を占めるBlue State中心の活動であるために、共和党支持派が多数を占めるRed Stateでの賛成多数とは中々ならないのが実態ですが、理論上は「勝者総取りと比較すると全州で利得がプラスになる。人口比例配分方式と比較しても、Red Stateの多数を占める少人口州の利得が高くなる。(=Blue Stateが中心の多人口州の利得は人口比例配分方式より落ちる)」という分析結果になっているわけで。
以下、下記論考のゲーム理論的分析に基づき、重要だと思う個所をコピペ。
「新しい州間協定は米大統領選を変えるか」
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/24275
『現在進行中の興味深い活動がある。NPVIC(National Popular Vote Interstate Compact)と呼ばれる州間協定である。協定を結んだ州の選挙人すべての投票先を合衆国全体の獲得票数の勝者に指定する、というものだ。この協定のミソは、発効を「協定を批准した州に配分された選挙人の総数が選挙人団全体の過半数に達したとき」としていることだ。この条件が満たされるとき、選挙結果は米国全体での獲得票数の勝者と一致する。したがって、勝者総取りからの脱却は、各州のみ、もしくは協定に参加した一部の州の連合のみではなく、すべての州で一斉に行われる。批准した州が少ない場合にはまだ移行は起きないので、まさにパレート改善への協調装置としての役割を果たしている。』
『筆者らの試算によれば、仮にこのルールがすべての州で採用された場合、勝者総取りの均衡をパレート支配する。すなわち、すべての州において利得が均衡よりも高くなる。さらにすべての州が比例配分を使った場合と比較しても、人口で上位の7州を除く43の州とDCにおいて利得が大きくなる。』
『一般的に、議院選挙区制はほかのいかなる制度を全州一様に導入する場合と比べても(1)少人口の州にとって有利であり、(2)州間の不平等を小さくする、という2点が示される。もし州間の不平等是正が優先されるのであれば、議院選挙区制は有効な手段だ。』
注目のコメント
1. 総得票数でみれば、この30年で共和党が勝ったのは2004年のただ一回のみ。それ以外は、共和党が選挙人で勝った2000年、2016年も、総得票数では民主党の勝ちでした
2. 大統領選には共和党に有利な一票の格差があります。なぜか。選挙人の数はその州の(下院議員の議席数+上院議員の議席数)です。下院の議席数はほぼ厳密に人口に比例していますが、上院はどこの州も人口に関わらず2です。人口が60倍も違うカリフォルニア州もワイオミング州も2です。だからワイオミングのような人口の少ない州は下院1+上院2で3人の選挙人をもらえます。カリフォルニアは55。つまり人口は60倍でも選挙人数は18倍。約3倍の一票の格差があります。
で、ワイオミングのような過疎州は田舎にあるので、ほぼ例外なく共和党です。よって、一票の格差は共和党に有利に働くのです。だから共和党は原稿制度が不公平でもしがみつきたがる。
3. 今回名前が挙げられている大規模州がこの協定に賛同するのはもちろん、一票の格差で割りを食っているからです。ほぼずべて民主党側でしょう。共和党州がこれに入ることはないでしょう。これもまた、アメリカの分断の一側面です。選挙人制度の改革は選挙のたびに提起されている気がするが、それでも変わってこなかった。一つの要因は選挙人制度がなくなれば共和党が負ける可能性が非常に高くなるから。州が連合を組んで改革していくのは現実的だが、果たしてうまくいくかどうか。個人的には懐疑的。
まあ時代錯誤なシステムなのは確か。しかし、投票数というのも危いは危い。民主主義のシステムは難しい。
単峰性がなくサイクルに陥りやすい政府トップの社会的選択は、有事と平日で求められる資質が異なるので、ベストな選び方も変わってしまう。
67%以上の得票率を条件にする方法もあるが、それだと決まらないリスクや、熱狂下ての当選に偏るリスクがある。