ジョンソン英首相、バイデン氏と電話会談 EU離脱など協議
イギリスのボリス・ジョンソン首相は10日、アメリカのジョー・バイデン次期大統領と電話会談を行い、大統領選の勝利を祝った。
ジョンソン首相は電話で、英米の「パートナーップ強化」を楽しみにしていると伝えたという。
またバイデン氏に対し、イギリスとアイルランドの和平合意「ベルファスト合意」がブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)によって損なわれないことを保証した。
バイデン氏の事務所は声明で、ジョンソン首相がベルファスト合意への支持を再度断言したと発表。さらに、英米の「特別な関係」を強化し、公衆衛生上の安全保障や民主主義の推進といった懸念事項で「協力をより強化する」ことに意欲を示したと述べた。
バイデン氏はその後、アイルランドやフランス、ドイツなど欧州主要国の首脳とも電話で会談した。
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イギリスは今年1月末に欧州連合(EU)を離脱し、現在は移行期間中にある。
EUとの通商協定の交渉期限が年末に迫る中、ジョンソン政権は通商交渉が破綻(はたん)した場合に北アイルランドを含めイギリスの国内市場を守るためとして、国内市場法案を提出した。
しかしこの内容では、離脱協定で定められた北アイルランドの処遇をイギリス政府が一方的に変更できる可能性があり、国内外からベルファスト合意が損なわれる懸念が出ている。
ベルファスト合意の重要性を再確認
英首相官邸の報道官によると、電話は25分間にわたった。
ジョンソン首相はバイデン氏に「祝意を伝え」るとともに、カマラ・ハリス次期副大統領に対しても「祝いの言葉を送った」と説明した。
「首相とバイデン次期大統領は両国の長く緊密な関係について話し合い、貿易や安全保障といった領域で、向こう数年にわたってこのパートナーシップを築いていく決意を固めた」
「2人とも、気候変動や民主主義の推進、新型コロナウイルスのパンデミック対策など、共有する優先事項について緊密に連携するのを心待ちにしている」
ドナルド・トランプ大統領はブレグジットを支持していたが、バイデン氏はかねて反対を表明しており、両国の関係に緊張が走るとの懸念がある。
電話の中でジョンソン氏とバイデン氏は、ベルファスト合意を尊重する形でブレグジットが施行される重要性を議論したと伝えられている。
「アイルランドのルーツ」
アイルランド政府は、ミホル・マーティン首相との電話会談で「バイデン次期大統領は、自身の強いアイルランドのルーツと、2016年に家族でアイルランドを訪れた時のことを話した」と説明した。
「次期大統領はベルファスト合意への全面支持を再度述べ、ベルファスト合意を尊重し、アイルランド島内に国境管理を復活させないブレグジットの重要性について議論した」
バイデン氏はその後、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル首相とも電話会談を行った。
マクロン大統領は、気候変動とテロとの戦いでの協力を約束。メルケル首相も、バイデン氏と緊密に協力していきたいと語ったとされる。