台風19号、米軍の解析で「世界最強の上陸台風」に
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台風の解析について、中心気圧や最大風速に注目した場合、特に今回のような強い台風については誤差が非常に大きくなる傾向があります(猛烈な台風ほど、中心気圧がピンホールのように局地的に下がるため、言ってしまえば竜巻のような極端な気圧や風速の分布になるからです)。
台風の解析には現在は記事中にあるようにドボラック法が用いられていますが、それは主に衛星写真における雲の配置のパターンから、地震のマグニチュードのようなCI数という数字をまず求め、これを中心気圧や最大風速に置き換えることで台風の勢力を発表しています。
今回の台風19号の上陸直前のCI数は、気象庁と米軍(JTWC)で同じ8.0を解析していました。
気象庁と米軍で最終的な気圧や風速に大きな差が出たのは、このCI数を置き換える換算表の違いによります。米軍が使っているのはドボラック博士オリジナルの、いわゆる大西洋でのハリケーンの研究をもとに設定されたものです。気象庁は西太平洋の台風においては誤差の調整が必要だとして、これを手直しして独自の換算表を作って運用しています。
これは特にCI数の大きな強い台風について差が顕著で、今回はその差がもろに出てしまった形ではないかと思います。
現地の実際の観測データがあれば動かぬ証拠としてどちらがより実際に近いデータであったのかという検証ができますが、台風についてはピンポイントで中心気圧や最大風速はなかなか得られないデータとなっているのが難点です。
米国の強みは、大西洋や東太平洋のハリケーンについて軍人部隊を用いて実機で観測を行っていることであり、得られる機会の少ないデータを最大限に得ようとしているところです。日本でも台風の直接観測を行うべきという機運はあり、名古屋大学や琉球大学を中心に観測機をチャーターして台風の上から眼に飛び込むという飛行を行ったことがあります。今後の研究の進展に期待です。日本の台風の予報値は、強い台風ほどアメリカよりもゆるめの数値が出るとたびたび言われています。実際の観測値がどちらの予報値に近かったのかは気になるところです。
気象庁の最大風速が10分平均、最大瞬間風速が3分平均ということがわかっただけでも価値ある記事です。海に近く、台風が来るたびに船の台風準備をして江ノ島の風速計とにらめっこしているので、切実に大切な情報です。