キリンビールの缶チューハイ「本搾り」が成長している。販売数量は、2019年まで8年連続で2桁増。20年も1〜9月の期間で前年同期と比べて21%伸びており、年間では前年比約2割増の着地を見込む。
なぜ、過去最高の実績を更新し続けることができるのか。本搾りといえば、果汁の配合量が多いことが特徴で、最も果汁量が多いオレンジフレーバーでは45%も入っている。ただ、果汁が多いからおいしい、という単純な話ではない。成長の背景には、発売した03年から“知る人ぞ知る”商品だった歴史と、コアなファンに支えられ続けている魅力があった。
今年は春以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、自宅でお酒を飲む人が増えた。その恩恵もあり、本搾りの1〜6月の販売数量は、上半期として過去最高となる約670万ケース(1ケースは250ミリリットル×24本換算)を記録。さらに、増産体制を整えて臨んだ夏も好調が続き、9月は前年同月比33%増と大幅に伸びた。単月として過去最高の実績を更新したという。
9月は前年に消費増税前の駆け込み需要があったことから、反動減が予想された月だった。それでも大幅に販売を増やした。同社マーケティング部 RTDカテゴリー戦略担当で、本搾りのブランドマネージャーを務める小野寺有紀氏は、その理由について「人気フレーバーのレモンとグレープフルーツが特に盤石だったことと、期間限定品の『赤ぶどう&白ぶどう』が初めてコンビニチェーン全店で採用されたこと」と説明する。
また、5月に実施したリニューアル効果も続いている。定番商品のパッケージを刷新したほか、新たに「ライム」フレーバーを発売。通年商品を5フレーバーに増やした。
まさに絶好調といえる本搾り。実は、近年の急成長のきっかけは、11年の東日本大震災だったという。
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