アリペイ、史上最高額で上場へ 中国、3兆6千億円調達
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アント・グループの上海・香港同時上場がいよいよ近づいてきました。
今回の上場で調達した巨額の資金の使い道については、上海市場で調達した資金は「国内業務の多角化」に、香港市場で調達した資金は「海外展開」に使われるのではないかと予測しています。
国内市場の競争は激化してきており成長余地が徐々に縮小していますし、デジタル人民元の運用開始も現実味を帯びてきており、今後金融分野においては規制が強化され、アントの優位性が下がるかもしれません。
国内フィンテック市場が飽和へと向かう一方で、世界に目を向けると広大な未開拓市場が拡がっています。
データセキュリティの問題があり、金融が比較的進んでいる先進国では参入余地は限定的であると思いますが、金融インフラが十分に整っていない新興国ではアントが中国国内で積んだノウハウが十分に生かせるはずです。
今後のアントのグローバル化戦略は、金融の発展が遅れており規制が比較的少ない新興市場を対象にした、「ノウハウの輸出+戦略投資」という提携モデルが中心になるとみています。
以下の拙稿もご参考ください。
『アリババ傘下アント、上場資金3.7兆円で「世界展開」へ』
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00109/00024/時価総額は32兆円で公募価格決定の模様。
調達額は3.6兆円で、アリババ創業者でアントの議決権の5割強を握る馬雲(ジャック・マー)氏は「調達額は人類史上最大の規模になる」と述べたと。
調達額をアラムコ以上にして人類史上最大にすること、にも一定の拘りがあったような気もしますが。
いずれにしても、アリババ85兆円、アント32兆円、Amazon160兆円、という規模比較感は、乱暴に言えばまだアントにもアップサイドがあるようにも思えます。(アリババ、アントはいずれも中国外でもビジネスしているが依然として中国内が主要なビジネス領域)アントグループのAlipayは年間アクティブユーザー数10億人。月間アクティブユーザー数は7.11億人、月間アクティブマーチャント数は8,000万件という中国の人たちにとって欠かせない存在になっています。
アラムコのように化石燃料に依存したビジネスではなく、デジタルという地球に優しい手段で金融サービスを変革しています。将来の成長性も高い。
3.6兆円の調達になるというのは、当然のことでしょう。