日航、3千億円調達を検討 劣後ローン軸に銀行団と協議へ
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JALの自己資本は2020年3月期でおよそ1兆円です。すでに9月期までの上半期でおよそ2000億円の赤字ですので、単純計算ですと自己資本は8000億円まで減っている状態と考えられます。年度末にはさらに2000億円程度の減少が見込まれますから、ここでただの有利子負債ではなく資本金に相当する資金調達を行い、自己資本比率を戻しておきたいという意思があるように思われます。
(JALは経営破綻の反省から、自己資本比率50%以上、営業利益率10%以上など財務上いくつかのポリシーを掲げています)
ところで、確かに他業種ではよく言われる「狭い日本で潰しあいをしている場合ではない」という論調についてですが、こと航空業界の場合は事情は異なるように思います。例えば製造業と比べた場合、海外からの輸入品には関税があり、国内市場はおおむね国内メーカーで寡占するような市場になっていますが、それでも3,4社は競合があるのがふつうです。仮にJALとANAを一社化させた場合、たとえば家電メーカーがパナソニック一社であったり、自動車メーカーがトヨタ一社であったり、携帯電話事業者がドコモ一社になってしまうようなインパクトがあります。
一方で国際線については製造業のように関税で守られてはいないため、海外の航空会社との直接競争に晒されていますから、この部分を一社化するのはありかもしれませんが、現在のJALもANAもそれを望んではいません。
仮にJALとANAの一社化ということがあるのなら、それは両社が全面的に国の資本注入を受けて事実上国有化されたときなのではないかと思います。現在の状況であれば、まったく可能性がないわけではありませんが、まだそれが差し迫った状況でもありません。2019年度ベースでJALの売り上げは国内線と国際線はちょうど半々(約5,000億円ずつ)。
国内線の需要回復により、半分は売り上げがたち始めているとは言え、国際線の売り上げは、今後もしばらくたたない状態です。
推計値ですが、毎月1,000億円近くのキャッシュアウトがあると言われています。
JALは記事通り、全日空よりも自己資本比率が高く、かつすでに株主総会でも発表の通り、5,000億円の融資確保をしています。
が、あまりに国際線の回復の目途が不確定であり、来年3月までは少なくとも、需要回復は怪しいという見立てでしょう。将来本当に返せるのかが不安視されてくると思います。
もしリニアが実現できたら(可能性低いとみていますが)、例えば羽田-伊丹は一気に需要が減少するわけですよね。
ビジネス客もリモートワークの浸透で減るでしょうから、旅行でその分を代替するほど需要があるか。
この先は、航空券の高騰と本数の減少になると思います。