カートリッジ会社がキヤノン提訴へ 「仕様変更は違法」
コメント
選択しているユーザー
ビジネスはルールを創った側にアドバンテージがあるので、本件の判決に限らず、いまの事業の収益構造をできる限り分散しておく必要がありますね。
事業ポートフォリオも人間関係も、極度に他者へ依存する状態が危機である事を認識するのは勇気のいる事ですが、とても大切な視点だと思いました。
注目のコメント
まあ、空っぽのカートリッジを回収しインクだけ詰めて再販するというやり方はセコい、許せないというキャノンの感情はわかります。
だったらキャノン自身が回収、リサイクルしたらいいのにという話にもなり得ます。
ハードを安く売ってもインクを高く売ることでサブスク的に儲かるというビジネスモデルは羨望の的だったわけですが、こういうモデルは実はあちこちに見られます。
身近なところだとネスプレッソですよね。エスプレッソマシンを比較的安価で売って、コーヒーのカプセルを高く売ることでがっぽり儲けるモデルがそう。
私もネスプレッソが美味しいしラクだし好きなんですが、消費者の立場からは日本だとカプセルがもうちょい安いといいのになぁと思うのも確か。
ヨーロッパへ行くと、スーパーやコンビニでネスプレッソと互換性のあるおびただしい種類の格安コンパティブルカプセルが販売されています。なので、私はヨーロッパへ行くたびに大量のコンパティブルカプセルを買ってきます。
行くたびにいいなあ安くて!と思うんですが、ヨーロッパではネスプレッソがマシンの仕様を完全にオープンにして正式に互換性のあるカプセルの販売を認めています。
私のトライアスロン仲間のベルギー人はコンパティブルカプセルのビジネスを創業して大成功。富豪になって寒いベルギーから1年を通して温暖な南仏に移住しました。
彼を見ていると、いやいやビジネスっておもしろいなぁと思います。2015年にも、レーザープリンター用のトナー容器にICチップをつけ、再生品を使用できないようにしたキヤノンに対して、再生業者が公正取引委員会に申し立てたことがありました。この時には一定の操作をすれば再生品が使用できたために排除命令は出されませんでしたが、「合理的な理由がないのにICチップに記録される情報を暗号化したり、その書き換えを困難にしてカートリッジを再生利用できないようにすること」については、独禁法上の問題となるおそれがあるとされていました。
独禁法はさておき、わたくしは環境の視点からコメントします。
現在日本では、ブラザー、キヤノン、エプソン、日本HPの4社が協力して家庭用インクジェットプリンターの使用済みカートリッジを共同で回収していますが、これは再生材としてのリサイクルがメインで、リユースが目的ではありません。しかしリサイクルよりも、やはりリユースのほうが一般的には環境負荷は少なくなると考えられます。
世の中の潮流として、使い捨てを前提とするビジネスに対する印象は悪化しています。欧米では電気電子機器などに対して「修理する権利」が叫ばれ、メーカーは簡単に修理してまた使えるようにする製品設計が求められています。今後、再生に向かない消耗品に対しては厳しい視線が増すと思いますし、今回キャノンが勝って再生品が流通できなくなるような事態となれば、声を挙げる人も出てくると考えられます。
他の業界では、サーキュラーエコノミーやSDGsへの配慮から、メーカー自身が積極的にリユース事業に乗り出すケースが増えてきています。メーカーはデポジットスキームや下取りで回収率を高める仕掛けを実行しやすいところも強いです。
優れた技術をもつリユース事業者とメーカーが手を組んで回収再生活動を行ったり、再生事業者のカートリッジにメーカーが(何らかの対価を受けたうえで)認証を与えたりする仕組みは実現できないでしょうか。これまでは使い捨て前提で成り立っていたビジネスを、より循環可能な構造に転換できないかどうか、今一度考える機会なのかもしれません。一方、エプソンは自ら大容量インクタンクプリンタをリリースし、破竹の勢い。
エプソンの大容量インクタンク搭載インクジェットプリンター 世界累積販売台数5000万台達成
- 消耗品によるCO2排出量を約16.6万トン削減 -
https://www.epson.jp/osirase/2020/201007.htm
エプソン"大容量プリンタ"がヒットしたワケ
https://toyokeizai.net/articles/-/63737