海王星に猛毒青酸ガスの帯 赤道付近の上空 東大研究チームなど発見
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昨日のマイナビニュースの記事が詳しいです。
https://news.mynavi.jp/article/20201023-1432115/
そもそもメタンなど有機物に富む大気を持つ星では、太陽光による反応によりシアン化水素は容易に発生し、たとえば土星の衛星タイタンの南極にもシアン化水素の雲があるとされているなど意外とポピュラーです(水素と炭素と窒素があればよいので、仕組みは単純な物質です)。
では仮に人間がその大気を吸ったら猛毒で死んでしまうかというとそうでもなく、たとえば今回の海王星における濃度はせいぜい1.2~1.7ppbで、これはいわゆる哺乳動物における致死濃度のおよそ10万分の1の桁です(ただし、地球大気と同じ圧力に揃えたらどうかということは東大の発表からではわかりません)。
今回の研究のポイントは青酸ガスではなく、その循環を生み出す大気の流れの解明につながる内容にあるということになります。>引用
『電波を観測する南米チリのアルマ望遠鏡を用いて、太陽から約45億キロ離れた天体の大気のごく微量の成分を捉えた成果で、チームはこの手法が惑星の大気環境の解明につながるとしている』シアン化水素HCNの分子輝線(吸収線?)の観測は、電波天文学だとかなりメジャーですね。
でも、電波観測のデータでは、空間分解能が可視光による観測データほどは求められなかったので、これまでこのような、遠方の太陽系内天体の大気組成分布を調べる、みたいな研究は出来なかった、ということなのだと思います。
それが、最新のアルマ望遠鏡なら出来る、かも、というニュースなのかなと。
(海王星の視直径は約2′′らしいです、月の900分の1くらいですね。一方で、直径100mクラスの電波望遠鏡でも10′′より細かいものは観測出来なかったと思います。アルマ望遠鏡は、電波望遠鏡を複数同時運用してデータを重ね合わせることで、空間分解能を向上させる技術を使っています。)
アルマのあるチリのアタカマは標高がとても高く空気が乾燥しているので、アルマならノイズのかなり低い良質なデータを得ることも出来ます。
HCNの分布が分かったから、だから何なんだと言われたら、それはこれから、という感じなんじゃないですかね。
サイエンスっぽいサイエンスになってくるのはまだこれからだけど、一般の興味も引きそうなテーマになると思うので、我々にもっとアルマ望遠鏡を使わせてください、というアピールを兼ねていると思います。
個人的には面白いと思うので、がんばってほしいです。
追記
谷村さんがご紹介してくださっているリンクを見ました。
これだけのデータからかなりサイエンス的な考察まで既にされてるんですね。想像を超えてました。
一流の科学者さんはやっぱりすごいです。