• 特集
  • 番組
  • トピックス
  • 学び
プレミアムを無料で体験

中国が圧力「チンギスハン」を削除せよ 仏博物館、企画展延期に

115
Picks
このまま本文を読む
本文を読む

コメント


注目のコメント

  • badge
    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    中国政府文物局からナント博物館への要求として、中国側の用意した案内文・説明文を企画展で使うように、というものがあったそうです。
     中国側が用意した案内文・説明文は中国の「新しい国家史」に沿ったもので、そこには「チンギス・ハーン」「モンゴル」「モンゴル帝国」といった言葉が出てこないそうです。
     中国政府がこだわっている「新しい国家史」というのは、中国の歴史を漢民族に限ったものではなく、「中華民族」「中華文明」の歴史であるという立場の歴史記述でしょう。
     習近平政権の重要なスローガンに「中華民族の偉大な復興」というのがあります。ここでいわれる「中華民族」には、漢民族はもちろん、モンゴル人、ウイグル人、チベット人をはじめ、中国の少数民族は全て含まれます。解釈によっては、朝鮮人や琉球人も含まれるでしょう。台湾はもちろん中華民族の領土でしょう。
     モンゴル人の歴史はあくまで中華文明・中華民族の歴史の一部であり、モンゴル人の独自の歴史というのは存在しない、ということになります。「モンゴル帝国」というのも存在しなかったことになり、元朝という中華帝国の一王朝が、ロシアや東ヨーロッパを含む広大な領土を支配していた、というのが正しい歴史とされます。
     このような諸々の少数民族を全て含む「中華民族」という概念は、ごく新しいもので、中国政府の公式見解になったのは、せいぜい30年前です。習近平政権になってから、この概念が重要になりました。一帯一路の領域は、中華民族の領域と相当部分が重なっていると唱えられています。領土や権益の拡大を根拠づける、非常に政治的な意味を持つ概念になっています。
     フランスの地方博物館にこの中華民族概念を押しつけても、顰蹙を買うだけなのですが、むしろ中国国内向けに意味のある嫌がらせ行為でしょう。

    中国検閲で「チンギスハンとモンゴル帝国」展が見送りに フランスの博物館「歴史と文化消す狙い」と批判
    「同館は欧州や米国にある資料を集め、2024年に当初の構想に沿ってチンギスハン展を開催する計画だとしている。
     内モンゴル自治区では9月の新学期に中国語(漢語)教育が強化され、授業ボイコットなどモンゴル族による抗議運動が広がっていた。」
    https://www.sankei.com/world/news/201014/wor2010140016-n1.html


  • 某省職員

    塩崎先生の詳しいご説明の通り、中国においては、モンゴル族も中華民族の祖先ということで、チンギスハンが築いた王朝も中国の王朝の一つという教育がなされています。
    かつて学生時代に中国人留学生にチベットには唐代に吐蕃というチベット人の王朝があり中国の領域だったのは一時期に過ぎないという議論をしたら、チベット人も中国人の一部であり吐蕃も中国の王朝の一つなのでチベットは古来から中国の領土であるとムキになって反論されたことを思い出しました。
    尖閣も中国は一度も実効支配したことがないのに古来から中国固有の領土と教えられてます。
    多民族国家の国民統合のためにいわば捏造された物語が中国人の認識の基礎になってるわけですが、当然、実証を重視した近代的な歴史学に基づく我々民主主義諸国の認識とは相入れません。
    中国の国民統合は習近平になってから更に漢民族への同化を強化する方向に進められており、中国の拡張的な対外政策もこのような認識に支えられてます。


  • 保険会社(フランス) Data engineer team leader・道産子

    う~ん。この種の経済力・影響力を背景とした検閲・自己検閲の輸出は実際のところ幾つかの分野で起きています。最近の事例ですとNBAチームのGMが香港民主派を支持する発言をした後の騒動ですね。これも発言は控えて当然といったコメントがあったのには驚きましたが・・・

    博物館の展示は物見せの興行ではなく、学術調査の成果物です。政治的主張の表明の場でもありません。議論も無く一方的に押しつけられた史観の展示に踏み切ればそれは博物館の使命の放棄にも等しく、苦渋の決断でしょうが今回の博物館の決定は正しいと思います。

    その内容を巡り博物館の展示が中止に追い込まれた事例としてスミソニアン航空宇宙博物館のエノラ・ゲイ展を思い出します。原爆投下50周年に原爆投下を都市爆撃の歴史の文脈の中で捉え直そうという意欲的な企画でしたが、その内容が「原爆はより多くの人命を救った」という所謂「原爆神話」を否定するものであったため、市民団体や政治家からの批判を受け最終的に展示は中止、館長も辞任に追い込まれたものです。

    館長であったマーティン・ハーウィット「拒絶された原爆展」にその経緯は詳しいですが、このみすず書房の分厚い本の中に示された執拗に歴史資料を辿る調査や展示内容を巡る言論の量に圧倒されます。最終的に政治的批判に折れる形で展示中止に至る経緯は不健全でしたが、それでも論争の多くが公開の場で殴り合う形で行われた点には一点救いがあります。

    過去には中国がケンブリッジ大学出版やシュプリンガーなどにチベットや台湾に関連する論文を中国国内から読めなくする事を求めていた事が報じられていますが、そのような検閲の中で「新しい史観」というものがどのような議論を元に成立したものか知りたいところです。


アプリをダウンロード

NewsPicks について

SNSアカウント


関連サービス


法人・団体向けサービス


その他


© Uzabase, Inc

マイニュースに代わり
フォローを今後利用しますか