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2020年6月に、J&J社のベビーパウダーが卵巣がんの原因になった可能性があるとして、賠償金2200億円の支払いが命じられたというニュースがあり、その後ということになります。

▷米J&Jに2200億円の賠償命令 ベビーパウダー発がん性問題
https://www.afpbb.com/articles/-/3290192

タルク(滑石)の中に含まれるアスベストに発がん性があるのではという想定から、この裁判はおこっています。

日本における『ベビーパウダー』は、和光堂が最初に販売を開始し、『シッカロール』という名前がついています。現在の日本におけるベビーパウダーは、タルカムパウダーよりもコンスターチパウダーが使われることが多いようです。
しかし、一部の製品にはまだタルクが含有されており、心配な方は、念の為原材料を確認したほうがいいかもしれません。

ただし、最近、米国における25万人以上の女性に関するデータからは、ベビーパウダーを長期・頻回使用しても、卵巣がんの発症リスクに関連しないとされています。

▷ Jama 2020; 323:49-59.
(日本語訳)https://pediatric-allergy.com/2020/06/27/powder-use/2/

ベビーパウダーは、小児科では伝統的におむつかぶれに使用されていましたが、最近はほぼ使われなくなっており、むしろおむつかぶれを発症させやすくなるかもという報告すらあります。

▷BMC Dermatol 2019; 19:7.
争点につき少し補足させていただきます。

要旨としては、タルクを原料とした製品の「発がん性の可能性」が争点でした。タルクは、化粧品パウダーやチョークなどに用いられている鉱物です。これが、J&Jのベビーパウダーにも用いられてきました。

このタルク自体の発がん性は、明らかではありません。タルクを採取した際に、同じ鉱物であるアスベストが混入してしまい、このアスベストが混入したまま製品化されてしまうと発がん性が問題になります。

アスベストは、石綿と呼ばれる物質で、加工しやすく断熱性などに優れることから、古くから建材として用いられてきました。しかし、その後、石綿に暴露した方で肺がんや中皮腫と呼ばれるがんが増加することが相次いで報告され、現在は発がん性が高い物質として建材に用いることが禁止されています。

また、化粧品などでタルクを用いる場合には、多量のアスベストの混入がないかを検査されてから、製品に用いられています。

訴訟になっている背景にあるのは、J&Jのベビーパウダーの使用者に中皮腫などのがんが生じたという報告が相次いだことにあります。中皮腫は比較的珍しいがんで、アスベストと密接に関連があること、現在の建造物にアスベストが使用されていることは珍しいこと、患者が建築などに携わらない女性で他にリスクがないことなどから、訴訟に至っだという背景があります。