容量市場、電気料金に響くか 経産相「追加負担ではない」 環境相「可能性ある」
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追記:文章の重複修正
この問題に関する朝日新聞報道には疑問を呈したいと思います。
容量市場の電気料金の影響について、梶山経産相と小泉環境相の見解が分かれているとのことですが、両大臣の発言は対立するものではありません。
梶山大臣の「国民への追加的な負担を意味するものではない」は、容量市場の約定総額1.6兆円がまるまる新たな国民負担となるかのような報道(9月28日朝日新聞など。解説記事こちら→https://u3i.jp/blog/capacity-2/)を正したものでしょう。
梶山大臣の記者会見(13:30~)を拝見すると、以下の通り正確に説明されています。
https://www.youtube.com/watch?v=AZ7ZNaH-EkA
・約定価格は14,137円/kWだったが、経過措置として、2010年度以前に建設された電源(これが80%を占める)は、支払額を42%減額されるので、受け取るのは8,199円/kW。
・1.6兆円は、電力供給コスト全体の中で、kW価値を提供する対価の総額。電力供給コストの内訳が明確化されたものであり、1.6兆円の新たな国民負担が生じるわけではない。
・日本は足元では、確実に稼働する電源が必ずしも十分でない実情がある。維持費がかさむ老朽石油火力も維持せざるを得ない状況が価格に反映されている。
・容量市場は再エネが正常に市場に入ってくるためのプロセスと理解している。
なお、朝日新聞の記者の方が「1.6兆円がまるまる国民負担でないことは承知している」と発言されていることには、むしろ驚きます。
小泉大臣の「電力料金が上がる可能性がある」ですが、「今までkW価値を十分負担してこなかった小売電気事業者と契約している消費者の電気料金は上昇する可能性がある」ことを指摘されたものと想像します。
産経新聞によると「再生可能エネルギーの電気料金が高くなる可能性が高い」と仰ったそうですが、再エネの電気を販売する小売事業者が「今までkW価値を十分負担してこなかった小売電気事業者」に該当するならその通りです。ただ、容量市場は消費者間の負担の不公平を適正化する制度です。
相矛盾する訳でもない両大臣の発言を切り取って、対立の構図をいたずらに生み出しても、エネルギー転換に向けた建設的な議論を妨げるだけなので、慎重に正確に報じていただきたいと切に願います。