バンドルサーヴィス「Apple One」から、アップルによる“市場独占”という未来が見えてくる
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Apple Oneというサービス群のバンドリングは、環境経営を謳うアップルからすれば矛盾すると捉えることも出来ます。
Apple Oneで想定するサービス群はコンテンツの集積体なので、従来のヒット商品やブロックバスターといった開発を放棄して、これらの中から自由に選んで下さいというロングテール商品の1つの提供形態。
どれがヒットするのか分からないならプラットフォーム参加者に競争して作って貰って、あとは民主的に選んで貰い、売れたら歩合で課金する多産多死の仕組みで、ビットコインのマイニング以上に価値が不確定で、かつ生産者を使い捨てにする仕組みとも言えます。
確かに一度ヒットした場合の複製にかかるコストは、デジタルコンテンツであれば無きに等しいかもしれませんが、ヒット商品を生み出すプロセスや方法はits none of my business.
しかもロングテール商品に価格が付いていれば、売れたら売れた分利益も生産者が確定出来ますが、サブスクリプションになった途端にプラットフォーマーとの歩合契約になり使い捨て商品の1つになる可能性も。
そして選択肢が多いほどプラットフォームに集客されるとすれば、売れないコンテンツも必要悪として品揃えには不可欠ということにもならまいか。
一方でAmazon Primeのような物流サービスが含まれる場合は、需要の平準化という効用があるため、固定費を分散回収することに繋がります。
つまり、潤沢さを人工的に作る資源消費と、社会インフラの希少さを効率的に使うためのサービスは分けて考える必要が有りそうです。
規模を追う必要のあるビジネスは、従来ヒット商品という幻想を追い掛けて競争を繰り広げてきましたが、一企業が投入出来る資源には限界があったために、より良いプロとしての知見や経験が蓄積されて淘汰もされましたが、そうしたプロセスはバンドリングされたサービス群ではどういったメカニズムを働かせるのか。他サービスの割引や補填のために従来なら勝者が獲得出来た利益が薄く配分され、どれも似たような商品をただ消費するだけという、消費のために生きるディストピアを実現する道具にもなるバンドリングサービスを、アップルが提供しようとしていることに隔日の感が有ります。
クリエイターやアーティストの天才性のようなものが発揮されにくくなると危惧しております。そこそこ優秀なハードと豊富なソフトコンテンツを保有しているAppleがバンドルサービスを始めることは強力ですね。
最近のAppleの動きを見ていると、人の生活全てをAppleのサービスで包括できるような企業になろうとしているということが伝わってきます。
ただ、PelotonやSpotifyのような企業からすると前代未聞の脅威となりそうです。このような企業はAppleが提供できないような価値を生み出していくしか道はないのかも知れません。
その点、Spotifyは強力なリコメンド機能を保持しており、新しい音楽に出会えるサービスとして、自分が好きな音楽だけをメインに聴くApple Musicとの差別化が図れていると感じています。プラットフォーマーがiCloudのようなプラットフォームの活用に必須のサービスに他のサービスをバンドルすると競合サービスを提供する他社は圧倒的に不利な立場に立たされることはApple Oneの噂が報道され始めた頃から指摘していました。
乱暴な言い方をすればAppleもMicrosoftやGoogleのように米議会やEUとの裁判で一回ボコられてプラットフォーマーとして抑制的に振る舞うことを学習した方がよいのではというのが個人的な感想です。