アストラゼネカ、ワクチン治験の被験者に脊椎炎症=報道
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ワクチンの重篤な合併症の可能性があるとされた被験者は、「横断性脊髄炎」と呼ばれる疾病を発症したことが疑われています。
STAT newsからの直訳であり仕方がないですが、「脊椎(=骨)」ではなく、「脊髄(=神経)」に炎症が起こる病気です。記事のタイトルは間違いです。
ウイルス感染などに引き続いて、自己免疫的に起こることのある疾病であり、ウイルスを用いたワクチンの投与後に生じたとすれば、因果関係の可能性は否定できません。
この因果関係を明確に証明することはこの先も難しいと考えられますが、発症のタイミングがワクチンにより抗体が誘導されたタイミングと合致していたかなどから類推することになると思われます。
いずれにせよ、非常に稀な病気であり、今後多発するとは考えにくいとも思います。しかし、新しいワクチンであり、他の種のワクチンも含めて、今後の臨床試験データの蓄積が重要です。まさに、第3相試験実施の意義がここにあります。
なお、当疾病は約4割の方になんらかの後遺症(あしの麻痺など)を残す可能性がありますが、被験者の方はすでに退院が近いと報告されており、快方に向かわれているようで何よりです。ワクチンが脊髄炎症が引き起こしたのか、ワクチン接種後に偶然脊髄炎になったのか、調査がすすめられていることと思います。記事中の「説明できない」という表現は上記のどちらかがわからないということです。
Phase3の治験が世界各地で行われていますので母数が増えるほど今回のような事象が生じる可能性が想定され、仮に承認された後でも「説明できない疾患」が生じる可能性があります。
広がりやすいのは不安を引き起こす情報です。こうした事が起きた時に、科学的な考え方から、冷静にベネフィットとリスクを伝えられるか、公的機関・製薬会社・マスコミの情報伝達あり方が問われていきます。