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【塩野誠】デジタル通貨と国家の攻防 #5/6

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  • Coinbase株式会社 代表取締役

    本章で述べられている暗号通貨(国内法上は暗号資産と呼ぶ)については、私の本業と関わるものであり可能な限りの私見を述べるにとどめるが、同コンセプトと技術の社会的位置付けを的確に論じている。ビットコインがサイファーパンクコミュニティで産声をあげて、いわゆるアーリーアダプターか、さもなくば投機対象という別の文脈で語られていた暗号通貨は、2019年のリブラ発表によってまた別のステージに移ったといえる。リブラの出現からそれ以降に軸を置いて、貨幣論の本質から、信用創造の本源、中央銀行との綱引き、基軸通貨の陣取り合戦としての政治的利用に至るまでをまとめている。さすが著者である。現金融庁長官の氷見野良三氏が、当時金融国際審議官(かつFSBの常設委員会議長)として行ったスピーチで、「リブラは我々全員にとって、鳴り響く目覚し時計のような役割を果たす」と述べたことは記憶に新しい。社会全体として取り組む課題として、このコンセプトや技術が認識されてきたのである。そして、暗号理論を前提とするその技術は、極度に自由主義的な世界の実現が可能な一方で、その性質上、権威主義、管理主義的な為政者のツールにもなり得る。一般公衆が安心・安全にこの恩恵を受けるまでには、マネーロンダリングやセキュリティなどの枠組み、既存の金融システムとの親和性、個人のプライバシーなど複合的な要請を鑑み、「落としどころ」を模索することが急務となっている。そこでは国家レベルでの独断的な枠組みはそぐわず、グローバルな取り組みが期待されている。我が国でも金融庁などがイニシアチブをとって、多方面のステークスホルダーを巻き込んでの動きを進めているが、著者がスタートアップ的な動きを国家的にとっていると評する中国のようなプレイヤーが自国のデジタル通貨を電光石火に推し進めたらどうなるのか。ここ数年の喫緊の課題である。


  • ビービット 「アフターデジタル」著者/ビービット執行役員CCO 兼 東アジア営業責任者/エクスペリエンスデザイナー

    デジタル通貨に関して、リブラとデジタル人民元の関係性を詳述している文献はさほど多くない。リブラ自体、ユーザ数は多いがマネタイズ方法がほぼ広告しかないFacebookがアリペイやWechat payの成功を見て作り出している側面が強く、だからこそ、プラットフォーマーの常套句ではあるが「今後中国が実行するはず」と言っている。

    米中関係が語られる中、ここには奇妙な、プラットフォーマーと中国の協調関係がある。


  • VISITS Technologies株式会社 エグゼクティブディレクター

     課税問題以上に国家がデジタルプラットフォーマーに危機感を覚えたのはデジタル通貨への野望であったのは間違いない。単に利益を隠す小賢しいキツネではなく、国家権力を脅かす反体制派に見えたからだ。
     確かにデジタルジャイアントにしてみれば、「海外送金を手軽に」「口座を持たない貧民にも金融サービスを」というペインを解消するためのイノベーションの活動がその発想の原点であったかもしれない。しかし、国家にしてみればそのインパクトは単なるペインの解消にとどまらず、国家権力の領域に土足で踏み込むように見えただろう。
     リブラの動きを解説しつつ、国際的な政府の反応が解説されており、読み応えのある章となっている。筆者はこの章を読んで、「サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ)」で語られた「サピエンスの統合は貨幣、帝国、宗教によって加速した。特に貨幣制度は、これまで考案されたもののうちで、最も普遍的で、最も効率的な相互信頼の制度である」ことを思い起こした。万国共通認知となっている貨幣の根っこを握ったらさぞ英雄気分が味わえることだろう。しかし、既得権益を持つ国家はその持てる力を注いで阻止しようとするのもまた間違いない。


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