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 デジタル・マーケティングの一般的な手法を、政治という領域で最大限に活用したらどうなるか。本章のテーマはこれである。本章に登場する行動履歴データに基づいたターゲティングやレコメンデーション、顧客のスコアリングと顧客ランク別対応は、現在のマーケティングではごく普通に行われている。ではこうした技術の導入期に、マーケティングの研究領域ではどのような議論が行われていたのだろうか。
手元にインターネット黎明期に書かれたレコメンデーションに関する論文がある*。本論文によるとレコメンデーション・エージェントは、「消費者の意思決定の質の向上」、「顧客満足の増大」を目的とするものであり、その実現のためには消費者からの「信頼の獲得」が不可欠である、とある。そして、信頼の獲得のためにはエージェントは(企業ではなく)消費者の利益の保護と最大化を目指すよう設計されなければならない、と記されている。この企業ではなく消費者の利益、という部分は、革新的な技術から社会が広く恩恵を受けるために重要であろう。
デジタル技術を選挙や国家統治に活用する場合、国民の意思決定の質の向上、国民の満足度の増大、国民の信頼の獲得の三点がポイントとなるだろう。そして、技術の恩恵を受けるのは国家ではなく国民でなくてはならない。行動履歴データに基づいたスコアリングやターゲティング、レコメンデーションは誰が利するように設計されているのか。本章を読む限り、権威主義国家がこうした技術を手に入れると、利するのは国民とは言えないようだ。

*West, P., Ariely, D., Bellman, S., Bradlow, E. T., Huber, J., Johnson, E., Kahn, B., Little, J., & Schkade, D. (1999). Agents to the Rescue?. Marketing Letters, 10 (3), 285-300.
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民主化にも権威化にもデジタルテクノロジーが利用される中で、陰と陽をフラットに伝える。

特に私も縁のある中国に関しては、誤解や偏見にまみれた日本においてしっかりと良し悪しを照射しているし、日本人が盲目的に良い評価を下しがちなアメリカに対しても、同様にフラットに語るため、世の中の状況を改めてフラットに学ぶ契機になるのではないか。

これを見ていると、逆に中国は、日本人の感覚から見て怖い点もある一方で、国民に「こういうことをします」と明言している。対して、ここで書かれるデジタルプラットフォーマーや米国選挙のケンブリッジ・アナリティカの問題、ロシアのIRAの話を聞いていると、むしろ隠れて世を操ろうとするのは西欧的な事例に多いようにも感じる。

「テクノロジーを手に入れた権威主義国家が国内秩序を維持する中、自由な民主主義国家は選択を迫られている」という投げかけは、今を生きる多くの人にとって逃げられない問い。是非この点は、塩野さんと議論してみたい。
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