【完全解説】上場目前、アントはなぜ15兆円企業になれたのか
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たびたび上場が噂された世界最大のユニコーン、アント・グループ(旧アント・フィナンシャル)が8月25日に香港と上海の両証券取引所に株式上場を申請しました。10月にも上場見込みです。
現時点で15.8兆円の評価で、上場後の時価総額は20兆円を見込んでいます。あまりの金額の大きさに衝撃を受けます。
アント・グループの歴史、収益構造、資本関係、課題など、上場前の今、知るべき情報をまとめました。
上場目論見書で判明した、売上の中心がものすごく興味深かったです。すごく古典的だけど、先進的な稼ぎ方。データの時代、AIの時代を感じます。ご覧頂けますと幸いです。アリババの金融部隊アントグループの歴史と今、そして未来がコンパクトにまとまっています。
オンライン決済からスタートしてリアル店舗でのQRコード決済に進出したのはAlipayでした。WeChat Payは2年遅れてQRコード決済に参入。
それから瞬く間に中国の決済と金融サービスを変革しました。そのスピードには驚かされます。ミニプログラムの数は100万を超えるともいわれている。
中国のデジタル通貨の実証実験にもAlipayは参加しています。気のなるのは中国の規制当局の動き。上場後に規制を強化するかもしれません。アントの国際化についてコメントさせていただきました。
国内市場の成長余地が徐々に低下する中、アントの次の課題は国際市場の開拓です。しかし、米国の国際送金大手マネーグラム・インターナショナルの買収が、安全保障上の問題を理由に対米外国投資委員会(CFIUS)からの承認を得られなかったように、先進国での事業展開は難しくなりそうです。
また、金融が比較的進んでいる先進国ではすでに金融インフラがある程度整っており、アントの参入余地は限定的だと考えます。
一方で、金融インフラの整っていない新興市場は、アントが経験した中国国内でのノウハウが十分に生かせます。したがって、今後のアントのグローバル化戦略は、金融の発展が遅れており規制が比較的少ない新興市場を対象にした、「戦略投資+ノウハウの輸出」という提携モデルが中心になるとみています。
最近の事例では、ミャンマーで「ウエーブ・マネー」を手掛けるヨマに出資しています。
香港での上場により得た資金の多くは、この「戦略投資+ノウハウの輸出」モデルを中心とした自身の国際化を進めるために使われると考えられます。