本質研究が生んだ新・界面活性剤は多くの社会課題を解決するのか
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実は原料の開発から行う企業は世界でもそれほど多くはありません。
花王が10年以上の年月をかけて開発したバイオIOSは、高い洗浄力で、衣類をきれいにするだけでなく、自然由来の原料を使うことで環境問題における課題解決やコロナウイルスで人々が悩んでいる中、清潔・衛生を、洗濯を通じて高いレベルで提供したいという開発者の思いを実現しています。油になじみ、水に溶けやすいという天然油脂由来の界面活性剤を開発するのは、大変な苦労があったはずです。
開発動機としては、洗浄剤に向いている天然油脂原料が全体の5%(ヤシ油、パーム核油)しかないので、世界人口の増加や生活水準が向上すれば、洗剤が手に入らないほど高価なものとなってしまいます。
親油基の中間に親水基を入れた分子構造を持つ基剤の開発が、突破口になったわけですが、製品化はまた違う困難に遭遇したとのことです。
「洗うの革命」とバイオIOSを呼ぶ花王の意気込みが、その困難を乗り越えた勲章だと言われても、頷くことができます。
洗浄剤について考えることがなかったのですが、分子構造を変えた基材を大量に安定した品質で製造するというのは、並大抵ではなかったと心から拍手を送りたいです。
天然素材の洗剤を使いたいと思う人々の気持ちに応えた素晴らしい商品だと思います。洗剤(界面活性剤)は、水にも油にも溶ける必要があって、酸素や硫黄原子からなる親水性の部分と、炭素原子が鎖のように繋がった親油性の部分に分かれる分子構造を持っているのが一般的です。
この記事の途中の写真にある分子模型がバイオIOSの分子構造だとしたら、確かに親水性(赤や黒の玉=硫黄や酸素と思われる)の部分から、親油性の鎖(白い玉=炭素)が非対称に二本伸びてて(鎖の途中に親水基がくっついてるとも表現出来る)、一見、界面活性剤とは見えないような革新的な構造をしてます。
そして、確かに扱いが大変そうな感じがします。