冷戦下の代理戦争から東京の生活戦争へ。シャン民族料理店「ノングインレイ」スティップさんの人生
コメント
選択しているユーザー
冷戦、CIAの通訳、内戦の敗北、米軍の急激な撤退、命の危機、逃走。国家や戦争に翻弄され、生き延びるために故郷も家族も全てを失い、そこから孤独のグルメや東京メトロの広告にも選ばれる名店を作り上げた人がいます。ニッポン複雑紀行の最新作。この一本に全力を込めました。ぜひお読みください。
注目のコメント
言葉にならなかったので、少し考えていた。
スティップさんの本当に様々なことが重ねられてきた生涯が語られている。
ラオス内戦で故郷を追われ、タイに逃げ、その後日本にやってきたこと、そして、その後様々な仕事をしながら、シャン族料理店を開いたこと、出来事だけでも本当に沢山のことがあるのだが、その中でスティップさんが感じたこと、考えたこと、そして、生き延びてきた過程を読むと、生きるということは凄いことなのだ、ということを改めて思う。
ふと思うのだが、彼のような様々な出来事があった人生だから、幸せの意味を深めることが出来るのだ、という言い方もできるかもしれないし、でも、彼のように色々なことがない人生であっても、それは実は凄いことでもあるのかなと思ったりもする。それぞれの人が抱える人生の課題も苦悩も様々だからだ。だから、彼は立派だ、とか、彼のように苦労をしていない自分は、などと考える必要はまったくない。
とはいえ、彼の話を読んでいたら元気になっている自分もいて、それは何でかなと考えていた。自分なりに今思うのは、ちゃんとその時々の局面で、やれることを精一杯やって生きるということは、成果が出るとか出ないとか色々あるとは思うけれど、それを超えて素晴らしいことだ、という絶対的な人生の肯定を感じたからかもしれない。
経済的な成果や社会的なインパクトを出す人も素晴らしいと思う。けれど、何より、ひとりひとりの人生は、そもそも素晴らしいものだということなんじゃないかなと思った。そんなことを考えさせてくれる内容だった。
是非。ずっしりと胸に迫る元難民の人生。
大学では地球物理学を専攻していたという。
「史上最も空爆された国」とし、当時の米軍によって2億6000万発もの爆弾が投下されたというラオスから、タイに逃げ、そこで75年に出会った上智大学の東洋史・民俗学の研究チームで通訳をしたことが日本へ逃げる決意につながったという。
差別にも出会いながらもフラットな視線で日本人を評価する淡々とした言葉、「人生」という分厚い書物。
高田馬場に行かれる方は是非。