CAFISと全銀システムの値下げは金融を変えるか 決済システムの抜本的な見直しも長期的視野では必要
コメント
注目のコメント
全銀システムはもともと銀行間決済を司る集中型システムであり、手形交換や振込に対応している。そのため処理件数で言えば極端に多くはない。例えばクレジットカード決済は、月に1度の預金口座からの利用代金引落しの場合に全銀システムを通るが、個々の決済はCAFISを代表とするカード等の決済システムを通る。CAFISの方が処理件数ははるかに多い。
日本の場合、銀行、カード、フィンテックのいずれも支配的なプレーヤーがいないため、多くの場合にプレーヤー間の決済が必要になり、そこに決済インフラシステムの存在意義がある。API接続するにしても、個別の相手と交渉・契約・接続を行うよりも、インフラにつないでおけばよいからだ。集中システムの利用料を下げろということは、そのシステムの利用をこれからも前提とする議論をしていることでもある。
一方で、現時点でのインフラシステムの利用費用に関する議論は、固定利用料だと、小口決済になるほど利用コストが相対的に高くなることから生じているだろう。利便性と低価格を指向するフィンテックプレーヤーが利用料下げを主張する根拠はここだと思われる。
より将来を展望するなら、シェアリング経済とIoTの普及が進めば、現在の固定手数料以下の金額で、桁違いに多量の決済を処理するニーズが生まれてくるだろう。現行システムの拡張では追い付かないほどの超小口多頻度の決済を捌く仕組みが必要になる。過去の仕組みの延長として成立した現行インフラシステムとは異なる「新しい」インフラを誰が作るのか?様々な思考実験が必要そうだ。シンガポールでの他行であっても24時間365日無料即時送金に慣れてしまったので、日本の個人口座からはトランスファーワイズで国外送金する時以外に、一切送金しないように心がけている