イベントもスポーツも 進む消費のオンライン化、課題は「五感」
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音楽の場合、会場のキャパシティという問題が常にあります。会場は維持費もかかりますので、利用料は公演出費の中でも一定の割合を常に占める大きめの支出です。
一方で公演における直接の収入は主にチケット代と付随して物販となります。
さて、現在、公演は会場のキャパシティを1/4-1/2に減らして開催されています。しかし会場代は変わりません。その分チケット代金を3倍にすればいうものでもありません。来場人数が減れば物販も減ります。そして、寄付を求めるにも、週間も税制の優遇措置も例えばアメリカほどではなく、日本では限界があります。したがって公演だけではどうしても立ち行かない。
そこで配信の出番です。配信は、音楽の最も売りとするところの「音」が…ことにクラシックですと相当に…変わってしまうということがありますが、最初はこのままじゃ業界が!と苦肉の策で始めたんですが。
4月以降、ライブ録画と配信を組み合わせたコンサートをかなり行なってきましたが、座席数の問題もなく、配信でしか見えない絵というものもあります。結果思うのは配信はライブと組み合わせることで、今公演を成立させる助けになるのはもちろん、配信ならでは良さがある。お客様からしたら、家で周りが煩くても見られる、自分のタイミングで見られる。作り手としても解説もできるし、画面に文字情報も入れやすい。実はアウトリーチの意味合いでの大きな可能性があると思います。
まだ誰もが試行錯誤中で、配信のクオリティはもっとみんな上げていける。ますます良い作品を…ライブコンサートでも配信でも…どんどん良い作品ができると音楽は身近になっていくはず。私たちも、9月の末から10月の頭にかけてまた一つ計画を進めています〜リアルにおける五感の価値をオンラインで代替することだけを目指していては、オンライン化は一時的なもので定着しないと思います。
オンライン化に変わる瞬間を体験するなら今しかないと思い、オンラインの美術館、水族館、演劇、スポーツ、フェス、海外旅行など参加してきました。そこで感じたことは以下の3点です。
・五感についてはリアルには勝てない
・リアルと違いイベントの余韻がない
・今はまだ参加者側の期待値が低いから楽しめている
参加者はそれぞれのイベントに今まで何を求めていたのか、潜在的なものまですべて洗い出したうえで、それをオンラインでどのように表現出来るかを考えるというプロセスが大変重要だと思います。
例えば、フェスに対して私が求めていたのは視覚や聴覚以上に、アルコールを飲みながら趣味が合う参加者同士の繋がりでした。このようにリアルをそのままオンラインに移行するのではなく、イベントの要素を分解出来るとさらにオンラインイベントの可能性は広がると思います。
一方、オンライン化は距離の壁を壊し、遠くにいても参加出来る(参加者だけでなく出演者も)ことは間違いなくリアルに勝てる魅力だと思います。オンライン化がうまく進展し、イベントに携わる多くの方が新型コロナウイルスを乗り越えられることを願っています。