米国のTikTok規制でMicrosoftに買収されたらどうなるのか?(神田敏晶)
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Microsoftは何らかの『対米外国投資委員会(CFIUS)』を介在させることによってメリットがあるディールであることは確かだが…500億ドル(5兆円)という金額は、過去最大のLinkedin買収の262億ドル(2.6兆円)の2倍近い金額であるので考えられないのだ…。
また、TikTokの米国での広告収益はたったの3600万ドル(36億円)である。
サティア・ナデラCEOの買収方針は、『Minecraft』で次世代ゲームプレイヤー、『Linkedin』ではビジネスネットワークのプロフェッショナル、『GitHub』では開発プログラマーと、それぞれの『コミュニティ』の獲得で動いてきた…。
それはクラウドビジネスへの拡大へとつながるからだ。しかし、TikTokの場合は、クラウドビジネスには、つながるかもしれないが、『コミュニティ』の獲得としては、多いに違和感を感じる。エンタメコミュニティとしては、Xbox事業があるが、Xboxやゲームを主流とする事業部門としても、カメラやスマートフォンを利用する事業とは大きく市場が異なっている。ゲーム端末やPC端末などのコンソールで画面と対面するハイスペックゲーマーと、TikTokで動画をクリエイトして、友達とシェアする属性ではない。
エンタメを主とした、facebook社やAmazon社らが名乗りを上げるのならばシナジーが多いが、Microsoft社とのシナジーは、ノキア買収やSkype買収以上に低いだろう。Microsoft社からも正式コメントがある以上、交渉は事実だが…。
Microsoftが万一、TikTokの買収に成功したとしても、TikTokそのもののMicrosoftへシナジーを生み出さないだろうし、活かしきれない。そう、Microsoftという企業のDNAには、広告モデルやメディアモデル、無料モデルが根づかない。TikTokを無料で使い続けるためには、Microsoft製品を売りつけなければならないのだ。すると、TikTokに無制限にクラウド保存するために、サブスクリプションモデルが松竹梅で用意されたり、企業や自治体向け、団体のTikTokには法人窓口が対応するなどの政策を取らなかればシナジーが活かせない…。