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さて、内容もとても濃いインタビュー。いわゆる世間でよく批判されるような「日本的大企業」のカルチャーが色濃いトヨタが、ここまで大きな会社構造の変革に踏み出せている(冨山さん的に言えばコーポレートトランスフォーメーション CX)のは、トップが本気になればできる、という証明ですよね
本体とは分けて世界の一線級を招きシリコンバレーに研究機関を作る、更にそこに息子をいかせる、そして今回のスマートシティの新会社も本体とは別に作るなどなど、日本的企業で新しいことをやってうまく行くならこれしかないだろう、というやり方に感じます
また、「白い粉も舐めてみないと塩か砂糖か分からない」という例えで、EVへの取り組みを語っていますが、先日KINTOの記事でコメントした通りで「新しいものには全力で振ってみて初めて自分ごととして理解できる」という感覚をもってやっているし、そのうえで競争領域、付加価値領域はしっかり内製化して強みにしないといけない、という考え方もとても理解できます
https://newspicks.com/news/5098532
時代の変化が早い中でそれでも競争に勝てるかはわからないですが、舵取りの方向としては一貫性、納得性が高い動きだと感じます
自動運転の実装を担うTRI-ADを大きく再編し、ウーブン・プラネット・ホールディングスなる新組織が設立されるという驚きの発表も。その真意やトヨタの未来について、じっくりと聞いてきました。
これまでの疑問を、時間の限りぶつけてきた、1万字にわたるロングインタビューです。ぜひご一読ください。
豊田章男さんが社長に就任して12年が経過し、近年では明らかにトヨタが変わり始めていると感じている。しかし、それはいかなる思想に基づいているのかが非常によく分かる。
取り上げられているトピックは、Woven city関連、ガバナンスの在り方、テスラとの関係解消、継承することの意味、ご子息との関係、新型コロナ問題下における経営、と多岐に渡るが、一貫して見えてくることが一つ在る。
それは、豊田章男さんは新しいことに取り組んでいる変革者であるが、しかし、それは本来のトヨタが培ってきた「現地現物」の思想を現代に体現する伝道者でもある、ということだろう。
例えば、Woven cityにしても、私財を投じて行うことは極めて旧来の伝統に適っているし、トヨタの名前を入れないで行うことによって、事業の本来目指している新たなモビリティ社会の実現に対してオープンに様々なプレーヤーが参加する在り方にとって正しい決断である。それは、過去の自動織機から続く事業を通じた社会変革という流れにも沿いつつ、それを現代に新たに語り直している。
テスラに関しての箇所、ソフトウェアファーストについての箇所もそうで、一度自らのものとして受け入れた上で判断をしている。
つまり、世にいう常識的な論理に囚われた良い点数を取るための経営ではなく、あくまでも「現地現物」から様々な物事に一つ一つ向き合っていくこと。このことが豊田章男さんの思考を貫いていることがよく分かる。
その意味で、豊田章男さんは極めて正当なトヨタイズムの継承者であり、継承されたものに基づきつつ、それを現実と向き合う中で新たに再構築していくからこそ、大胆な変革ができるのだとよく分かった。
それぞれが「ありがとう」と言い合える関係をつくりましょうと。」
これは金言。しっかりと覚えておきたい。
https://toyotatimes.jp/insidetoyota/088.html
https://toyotatimes.jp/insidetoyota/088.html
Woven Cityへの豊田氏の投資は、公私混同という批判を招きうると思う。一方で、変化の最先端にいて、またその変化が長く続く可能性がある領域について、社長などから退任しても創業家として守り続けるための構造を作った、と個人的には捉えた。
トヨタが豊田自動織機を源流として、今はトヨタのほうが圧倒的に大きい。もしWoven Cityなどが圧倒的に大きくなっていくとしたら、それは変化自体が極めて大きくかつ現実化して、そのど真ん中に企業としているということ。でも大きい変化だから、時間もかかる。3代で相続税などで消えるという言及があるが、そのメガトレンドが現実になったとしたら3代は一定守れるような構造を作りにいく、ということ。
その考え方に至ったのは、Samsungなどの財閥や、ファストリ柳井さんなどの影響もあるか?一方で、ファイナンス的にはGoogle以降種類株もあるし、上場しない可能性も含めれば、パブリックカンパニーとして恣意的に豊田家が優遇されずに、ただ構想実現に必要な「守る方法」という点で、種類株のほうが良かったのではないかとも思う。
電池やソフトウェアの言及について。Teslaとの文脈で語られているが、計画していた全固体電池の進捗報告が最近ないなど、現実としての難しさに今もぶち当たっているように感じた。
あとソフトウェアについては、Teslaの規模は自動車メーカーとしてはグローバルに決して大きくない(まだ100万台未満)。そのなかでソフトウェアを作るという点で、ほかのメーカーが規模という観点では作れないわけではないと思う。ただ、規模では難しい何かがあったから、Woven CORE(TRI-AD)など組織・構造論に至ったのかなぁと感じた。それが塩・砂糖などの話の含意なのではないかと、全体を読み終えて何となく感じた。