【無料】コロナに苦しむ「病院経営」を7つのデータで理解する
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大学病院のデータを元にされていますが、急性期病院も同じ状況です。
そもそも平時から病床稼働率が9割ほどないと赤字に転落する構造でした。
それが今回の受診控えとコロナ対応で下がると打撃必至です。
さらに院内感染が確認された病院は2週間の診療活動の停止。つまり収益ゼロ。
発熱をコロナ疑いとして対応せねばならず、そのためにベッドやスタッフを割かねばならないという、負のスパイラルに陥っています。
『国民皆保険制度の見直しを!』なんていう声もありますが、今必要なのはその議論ではありません。
注目のコメント
この「苦しみ」は悪い面ばかりではありません。
良い面の代表例は、経営構造の膿が出て、これまで目も当てられてこなかった「無駄」に目を向けられるようになったことです。従来から、医療コストの2割から3割は全く不要なことに使われていると試算されていました。無害な医療行為というのは存在しませんから、不要なことが減ったのであれば、それは患者さん目線で良いこととも思います。
ここでは4月から5月のデータをお示しいただいていますが、6月から7月は患者数や手術件数が順調に増加傾向です。そして感染者数が再増加した今でも、患者数の再度の低下は今のところ見られていません。ちょうど東京メトロの利用率と同様の変化を見せているなと感じています。院内感染の風評被害も喉元過ぎれば、です。
「特定の医療機関が」というのではなく、「医療機関全体が」という潮流であるからこそ、この落ち込みは「一時的な冬眠」になると思われますが、あとはどこまでこのパンデミックが持続するかにも依存するように思います。不確かさの多いところですので、現時点のデータだけで安易な結論を導かず、今後の経過を見るのが重要とも思います。このデータの背景には、
不急の受診が減ったという合理的な側面と、
感染予防のために、不急でもない手術まで延期されたり、という事情もあります。
その間、患者さんは症状を我慢し続けないといけませんし、
悪性腫瘍の患者さんでさえ延期となったところもあり、
そういう患者さんの不利益を回避すべく、京大病院はクラファンを行っています。
https://readyfor.jp/projects/kuhp-kyoto-u-pj1
医療報酬体制などそもそも改善すべき部分は多々ありますが、
経営難の中でも、患者さんを救おうというミッションに誠実な日本の医療を誇りに思います。7月20日に発表された全国医学部長病院長会議のデータが興味深かったので、編集部で補足しながらまとめました。
どれだけ言葉を尽くして説明するよりも、数字やデータを眺める方がスッと理解できることがあります。「数字は語る」ことがあり、今回はまさにその典型です。今後もこうした、短いながらも視覚的に内容を理解できるコンテンツを増やしていきたいと思います。
本記事は公共性を考慮して無料で公開しています。よりコロナ対応した病院経営の実態を知りたいという方は、記事末にあるリンクから「聖路加国際病院長」のインタビューに飛んでみてください。