英外相、中国がウイグル人に「おぞましい」人権侵害と非難

動画説明, 駐英中国大使、BBC番組でウイグル人の強制収容否定 ビデオを見せられ

イギリスのドミニク・ラーブ外相は19日、中国西部の新疆ウイグル自治区で「おぞましく、甚だしい」人権侵害が起きているとして、中国政府を非難するとともに、関係者への制裁措置もあり得ると表明した。

ラーブ氏はBBCに、イスラム教徒への不妊手術の強制や他の迫害行為に関する報告について、「長年みられなかったことを思い起こさせる」と話した。

イギリスは同盟国と協力し、適切な対応を取ると強調した。

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一方、中国の劉暁明駐英大使は日、強制収容所に関する話は「でたらめ」だと、BBCの番組で司会のアンドリュー・マーに説明。

ウイグル族は法の下で、他の民族と同じように扱われていると述べた。

「どの国も囚人を移送する」

ウイグルの人たちが目隠しをされ、列車に乗せられた場面と思われるドローン撮影の映像を見せられると、劉氏は映像が示していることは「知らなかった」とし、「どの国でも時々、囚人を移送する」と話した。この映像は、オーストラリア情報機関が本物だと確認した。

劉氏は、「新疆に強制収容所などない」、「中国に対するでたらめな非難が数多くある」と述べた。

中国政府が「再教育施設」と呼ぶ場所には、過去数年間で100万人ものウイグル人が拘束されたとみられている。

中国は当初、施設の存在を否定していたが、新疆ウイグル自治区で独立を求める暴力行為が起きた後、テロ対策に必要だとして施設の正当性を主張している。

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Presentational white space

最近は、ウイグル族の人口抑制を目的に、女性に不妊手術や避妊具の装着を強制しているとして、当局が非難されている。この件で国連に調査を求める声も上がっている。

「声を上げないわけにはいかない」

ラーブ外相はBBCの番組で、ウイグル人の扱いはジェノサイド(集団虐殺)に当たるかと問われると、国際社会はそうした主張は「慎重」にすべきだと答えた。

その上で、「法的にどう呼ぶかに関係なく、おぞましく、甚だしい人権侵害が起きていることは明らかだ」と述べた。

また、「事態を非常に深く憂慮しており、強制不妊手術や教育収容所など人的な側面への影響に関する報告は、私たちの目に長年みられなかったことを思い起こさせる」と発言。

「中国とは良好な関係を望んでいるが、そうした行為を見て、声を上げないわけにはいかない」と話した。

File photo taken in 2019 shows a woman walking in an ethnic Uighur neighbourhood in Aksu in China's northwest Xinjiang region

画像提供, AFP

画像説明, ウイグル族の女性は不妊手術の対象にされていると報告されている

ウイグル族の迫害に関与した中国当局者に対して、資産凍結や入国禁止などの制裁措置をイギリス政府に求める動きが高まっている。

署名活動には10万人以上が署名しており、要求は議会で取り上げられることになった。

「関係者特定に時間かかる」

イギリスは最近、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャに対する暴力を呼びかけた同国の軍高官や、北朝鮮の強制労働に関わっている当局者らに措置を取った。

これは、イギリス政府が国連のような機関を通す方法だけでなく、独自に対応を取る準備もできていることを示すものだと、ラーブ氏は説明。ただ、「好き勝手に制裁を決定できるほど単純ではない」とした。

そして、「ロヒンギャや北朝鮮でそうしたように、証拠を集めなくてはならない。関係者を正確に、責任をもって特定する必要があるので、かなりの時間がかかる」と加えた。

BBCのジェイムズ・ランデール外交担当編集委員は、「イギリスはアメリカ政府と中国政府の間で集中砲火を浴びる恐れがある」、「人権を擁護する代償として、中国との通商が減る。新型コロナウイルス後の経済の低迷状況では、影響が大きいだろう」と解説した。

一方、イギリス議会の保守党議員らは、香港国家安全維持法の施行を受け、香港政府の高官らに対する措置を要求している。イギリス政府は同法について、自由の尊重を定めた国際合意への違反だとしている。

ラーブ氏は20日に議会で、イギリス政府の対応を説明する予定。香港との犯罪人引き渡し条約を破棄するのではないかとの観測が出ている。

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中国大使は報復を示唆

中国の劉駐英大使はBBCのアンドリュー・マーに、イギリスが中国当局者を制裁対象とする場合は、中国も報復をすると述べた。

「もしイギリスが中国のいかなる個人に対しても制裁を科すなら、中国は間違いなく断固とした対応を取る」

ウイグル族に対する「民族浄化」が行われているとの見方については、劉氏は根拠がないとはねつけた。その上で、ウイグル族は「他の民族と、平和で調和のとれた共存をしている」と話した。

ウイグルの人々が暮らす地域の人口が、2015年から2018年にかけて84%減少したとの統計については、「正確ではない」と否定。新疆省全体では過去40年間に、ウイグル族の人口は「2倍になった」と述べた。

「中国でウイグル族を対象とした、広範で大規模な強制不妊手術と呼ばれるようなことは一切ない」、「そうした行為に政府は強く反対している」。

劉氏は不妊手術について、「個々の事案がなかったとは言えない」としたが、「どの民族も平等に扱っている」と話した。