この連載について
ビジネスや働き方が多様化し、正解がない時代に、自分を信じて一心に仕事をする人たちがいる。そこにあるのは独自の「哲学」だ。仕事人のヒストリーをたどり、道標となった哲学を浮き彫りにしていく。
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グループウェアでは国内シェアトップ。クラウド分野への重点投資を継続。中国、米国に続き東南アジアやオーストラリアにも販売網を構築するなど海外展開を加速。
時価総額
926 億円
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自分が納得しないと動けない、と語る青野さんですが、自分が納得する、ということはどういうことかと考えてみると、つまり、世の人々が良いと言っているものとのギャップで自分を変えようとするギャップアプローチではなく、自分なりに必然性や納得が持てることをこそやる、ということだと思います。
そして、それがサイボウズのユニークネスを生み出していると思います。
企業変革やイノベーションの推進を見ていると、ひとつはっきりわかってくるのは、世の中的な正解を探していると全然ユニークネスどころか小さな成果すら生むことが困難である、ということです。(例:Googleみたいな会社にしたい、どこか良い事例はないか、など)
しかし、その会社と取り組む人(特に経営者が大事)が必然性をもって取り組むと独自性のある変化が起きてくると感じています。
この差は実は質的に根本的な巨大な差異なのですが、青野さんはまさに完全に後者だと思いました。
もちろん、自分が納得しなければやらない、何でもかんでも納得「させてくれ」と受け身でいるわけでないところは見落としてはならない重要な点で、ここを勘違いしてはいけないとも思います。
おそらく「なぜこうなんだろう?」「こうしてみたらいいんじゃないか?」という試行錯誤のプロセスを経て、納得を構築されて来たと想像しますし、そうと決めたら成果を出すためにとてつもない努力をされてきたのは間違いありません。
全く余談ながら、僕も子供の頃プラモデルは好きだったけれど不器用でしたし、納得しないと動けない人間です。なんだか個人的にも親近感を強く感じてしまいました。
ーーー
情報共有のための「グループウェア」と呼ばれるソフトウェアやクラウドサービスを手掛けるサイボウズ。働き方改革の先進的な企業として知られ、「働きがいのある会社」でも2位にランキングされる(2020年、中規模部門。GPTW調べ)同社だが、15年前は危機的状況にあった。
ちょうど青野慶久氏が社長に就任した頃、社員が次々に退職。離職率は28%まで上昇する。給与の引き上げや業務の転換など、社員を引き留めるために様々な対応を試みたものの、さほど効果は上がらず。そこで社員に「どんなふうに働きたいか」を丁寧に聞き取り、「育休・介護休は最大6年間」「副業大歓迎」など働きやすい制度を次々につくる。
これが功を奏し、その後サイボウズの離職率は低下。12年以降は4%前後で推移。業績も好調で、同年以降、売上高は毎年、前年比115%ほどのペースで伸長している。青野社長は経営者としての自信を失いながらも、活力が消えかけた職場をどう再生したのか。(全7回)
■第1回 「がんばるな、ニッポン」のメッセージに込めた想い
■第2回 松下電工の「暴走社員」がサイボウズを創業
■第3回 人生最大の挫折で気づいた自分に足りなかったこと
■第4回 「100人100通りの働き方」で業績右肩上がり
■第5回 そこまでやるか、社員に手厚い制度を次々導入
■第6回 給与もキャリアプランも自分で決める
■第7回 「会社」という仕組みはもう古い