アップル帝国の戦略転換、チップ内製化の損得勘定
この記事は有料会員限定の記事となります
コメント
注目のコメント
(以下本文抜粋)
一部で「インソーシング」とも呼ばれる取り組みにより、アップルはデバイスの性能面で、競合勢よりも2年先を行くことが可能になると指摘されている。複数のチップが同時に機能できるようにすることで、電力消費を抑え、iPhoneやiPadの空き容量を一段と確保できるになるためだという。また、製品計画に関する情報流出リスクも低減できる。
アップルの半導体部門は過去10年にエンジニア数千人の規模まで急拡大。チップ内製化を進めるのに伴い、ハードウエア技術の責任者ジョニー・スルージ氏も、アップル重要幹部の1人としての地位を固めた。同氏は将来のアップル製品の機能について、何年も前から影響を与える立場にある。
アナリストによると、アップルはサプライチェーン(供給網)の取引関係を1つ断つことでコスト削減が可能になり、チップ内製化の費用を正当化できる見通しだ。チップの製造者を雇う設計者に支払うのではなく、チップの製造者に直接、支払うことが可能になるためだという。
アップルはまた、内製化チップをさらに増やすため、オフィスを設置し、クアルコムやインテルのエンジニアらを引き抜いている。サプライヤー関係者が明らかにした。
一方で、アップルが自社チップの開発計画を明らかにしたことで、英イマジネーション・テクノロジーズの株価は70%急落。その後、身売りを余儀なくされた。また、アップルが電力制御技術の開発に意欲を見せると、欧州のサプライヤー、ダイアログ・セミコンダクターは、アップルとの競争は避け、関連事業をアップルに売却した。
アップルは過去10年に、6社以上の半導体メーカーを買収。これには、昨年10億ドルで取得したインテルのモデム事業も含まれる。
ただ、内部ではサプライヤーと距離を置く方針を巡り、懸念の声も上がっているようだ。カメラ向けのセンサーを自社開発する計画を巡っては、ソフトウエアの開発によって求める改善が実現できると一部のエンジニアが主張し、議論になったという。