複数団体でクラウドファンディングをすることの経験を言葉にしておきます。 | 若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog

複数団体でクラウドファンディングをすることの経験を言葉にしておきます。

 

育て上げネット、D×P、キズキグループの3団体でクラウドファンディングをしています。残されたのは30時間くらいで、とても苦戦しています。

 

 

【#働くを取り戻す】コロナ時代の若者応援プロジェクト - クラウドファンディングCAMPFIRE  

 

 

さすがに目標金額達成は厳しそうに見えますよね。ちなみに、大きな金額の寄付をしてくださる個人や企業さんと初めから話をしていたりしていたわけではないので、ここからドンと寄付が入ることになっている、ということはありません。あったら嬉しいですけど。

 

目標金額未達だったらどうするの?

 

これについては先日のYouTube配信でも伝えたのですが、未達でもやれることをやれる範囲でしていきます。クラウドファンディングも目標金額の立て方はいろいろあります。今回、3団体でやることや、クラウドファンディングのその先のことを考えて、寄付額に応じて支援できる時間(など)を見積もっています。

 

そのため、200万円であればこれくらい、500万円であればこれくらい、という設計になっています。そもそも合同クラウドファンディングが初めてだったことと、「若者」の「働く」をテーマにしたとき、このコロナの影響において寄付者がどの程度いらっしゃるのか想像できなかったことも大きいです。

 

具体的に何をするの?

 
これもわかりづらさのご指摘がありましたし、もっとシンプルにした方がいいというご助言もいただきました。その通りだなとも思いますし、一方で、幅広い対象層や困り方をしている若者たちに、「これ!」という枠組みを設定し過ぎると柔軟に対応しづらいよね、という話は最初からありました。葛藤ポイントでもありました。
 
大きくは「生活」「スキル」「仕事につながる」サポートに区分しています。ある若者が困っているとき、3団体のどこかでつながりつつ、相互の持っている経験やリソースで支えたいという思いです。そのため具体性について明記することができませんでした。もしかしたら、クラウドファンディングよりも、オンラインサロン型でマンスリーサポーターを募った方がいいのかもしれません。こんな方がいて、こういうことをしましたよ、ということを継続的に伝えられるからです。
 

なんで複数団体でやることにしたの?

 
かなり根本までさかのぼるんですけど、僕はコロナの影響が大きくなりそうなときから、「寄付を募る」ことについてずっと悩んでいました。育て上げネットとして寄付を募ったり、クラウドファンディングをしたこともあります。さまざまな助成金が民間団体や企業、行政などから出てくることも、本当にありがたいことだなと思っています。この2ヵ月くらいの間にも、実際に申請して採用のことも、不採用のこともあります。
 
申請書類は多くの関係者のみなさまのおおかげで、とてもシンプルになっていると思います。もしかしたら、申請書類を準備する時間すらをも関係者は削っていきたいと思われているのかもしれません。そういうお話も聞きました。しかし、限られた原資を分配する、しかも日本中ですので、何らかの形で情報を求めるとき、公益性を考えれば「申請」と「審査」のプロセスをなくすというのは難しいと思います。
 
そういう状況において、育て上げネットでも助成金を見つけて、内部で議論し、申請(チャレンジ)してみます。採否の双方がありますが、やはり、ウチに限らず不採用の心的ダメージは小さくないんですね。限られた原資の話ではなく、緊急性が高いなかで目の前のひとに必要なことをやろうとする。日本全国、すべてのひとたちがダメージを受けているので、誰もが支援対象となり得ることはわかっています。十二分に。
 
助成金を申請したことがあるひとであればわかると思いますが、不採択や不採用のダメージにも種類がありますよね。そのなかでも比較的ダメージが大きいのが、同じような対象に対して、似たような内容のプロジェクトがあったとき、不採択のダメージはちょっと大きかったりします。一方で、採択されても、不採択の類似プロジェクトがあったことを知ると、やっぱりダメージになります。
 
どの世界でもそうかもしれません。勝ち負けもあれば、採否もあります。ただ、困っているひとを支えるという限りにおいて、選ばれなかったことで不利益を被るのは、自分たちではなく、自分たちがつながっているひとたちであることがまたつらいんですね。
 
と、長くなりましたけど、そういう部分から少しだけでも離れてみられないかなというのが、僕が3団体で寄付集めができないか。複数団体で一緒にやれないか。育て上げネット単独でいいのだろうか。そんなことを迷って、話をして、「現実的に理解や共感を得ること、目標金額に達することは(このテーマだと)難しい」というご意見もたくさんいただきました。
 
そして、まさにその助言通りの状況になっているのがいまです。
 

それでも、やってよかったということが舞台裏にはたくさんある

 
今回、3団体でクラウドファンディングをやってみて、舞台裏には「やってよかったなぁ」と思うことがかなりあります。個人的にそう思っているだけなので、全員がそうとは限りませんけど。
 

職員同士のコミュニケーションが日常に

代表者同士ってなんだかんだ仕事で会う機会もあれば、会議体で会うこともあります。共通の友人とともに食事をしたりもします。そんななかで、何か問題や悩みがあれば直接連絡して会ったり、メッセージしたりします。
 
しかし、職員同士のコミュニケーションが日常業務になるのは意外と難易度高いです。当たり前ですけど、業務のなかの、業務時間のなかに、他の団体の職員と定常的にコミュニケーションを必要とすることはそれほどありません。必要なときに必要なだけというのはあります。また合同研修みたいな形で、散発的に顔を合わせるというのもあります。ただ、そこから先はそれぞれのフィーリングが合えば友達になったりするかもしれませんけど、つながりを業務とすることはないでしょう。
 
今回、3団体で10名くらいのチームがコミュニケーション取りながら進めています。必要に応じて、必要な人間がオンラインで会議をしながら、チームメンバーで必要な人間だけで手を打ったりします。本当に同じ組織にいるみたいだなということと、それが代表だけでなく、職員同士も行われるって、思った以上になかった気がしていて、とてもいいなと思っています。
 

やっぱり他の団体はよくわかってないことがわかる

わかっているようで、わかってないことがよくわかりました。言葉遊びみたいですけど、D×Pさん、キズキグループさんのことは、比較的理解していたと思っていました。事業内容もそうですし、考え方ややりかたも。でも、違いました。僕がわかっていたのは、代表の今井さんのことであり、安田さんのことであって、それぞれの団体のことではありませんでした。
 
それは当たり前のことなんですけど、複数の個人が集まって団体なり法人ができている以上、影響力はあるにしても、代表者の思想や行動がその団体のすべてであるわけではないです。そのため、ゴールに向かっての道の探し方、歩き方も違いますし、代表に対する考え方やコミュニケーションも、外からは見えないところがたくさんありました。
 
何より、代表者だけとのかかわりだとわからない、それぞれの職員のスキルとか経験、過去の仕事など、そういうものが理解できてくると、これまで他団体でも、比較的知っていると思っていたところはありましたが、全然そんなことがないんだなと。SNSで表現されていることなんて本当に一部なんだなということ、心からよく理解できました。
 
それでも支援団体の「支援者」なんだなは同じでした
 
今回の3団体は、それぞれの形はあっても「支援団体」というカテゴリーに入ります。支援団体というのは、必要とされる限り、他のひとの役に立てるように、問題などの解決に貢献できるようにしようとしているひとたちの集合体です。どのような役割を担っていても「支援者」だと思っています。
 
その意味で、自団体の枠を超えても、みなさんとても「支援者」です。それぞれの団体での役割もありますし、スケジュールだって埋まっているでしょう。そのため、3団体合同プロジェクトでやりたいことがあがったとき、必ずしも全員が等しくコミットできるわけではありません。
 
そんなとき、どのくらいの無理や負担をしているかはちょっと見えないのですが、できることをできるだけ、率先して引き受けるひとたちが多いんだな。困っているひとを支えるだけでなく、相互にとっても「支援者」として、振る舞い、一緒に目標に向かって行動するひとたちだな。心からそう思います。
 
クラウドファンディングの終わりは目の前に迫っていますが、このような団体間の関係は、継続していくこと、広がりを持ってやっていくことを願ってやみません。今回は、新型コロナウィルスが社会を覆ったことが理由で作ろうとしているプラットフォームですが、ここを起点に何かがあってからではなく、何があっても若者を支えられるプラットフォームを目指していきたいな、と思っています。