ただ、自分がそうしているかというと全てそうしているわけではない。というのは、自分にとって経済情報を考えることは一種の趣味でも自己投資でもあるからそれが苦にならないこと、そしてリターンにとってマーケットが悪いときに買うことが影響するから。 ①は、2014年のPickだが、最も安かったn日買わないと、リターンにどれだけ影響があるかという分析。なのでCash is Kingという叫びが出る時こそ買い続けることが重要だと思っている。一方で、そこで買い続けるためには手元資金が必要。そのうえで現在がどういう状況にあるかというと、かつてなく高い水準にある(②・③)。もちろん環境が急変し、またそれが一気に戻る可能性も否定しないし、それ含めて織り込んでいる部分もあろう。でも高いのは事実。 これだけテクノロジーが進化し続けているのにNASDAQが2000年のITバブルのピークを超えるのはGAFAの拡大を経て2015年までかかった。そしてそこから現在は5年で倍になった、ちなみに2000年のピークからボトムまでは2年半で約1/5。そしてITバブルのピークを起点とすると、ざっくりNASDAQが2倍に対してS&Pは2.2倍と、いまだにS&Pの方がリターンが上回っている。なお、2009年のボトムからだとNASDAQが6倍に対して、S&Pは3倍とダブルスコア。 Time matters, but timing and valuation also mattersだと思っている。 ①https://newspicks.com/news/712472 ②https://twitter.com/ISABELNET_SA/status/1273576342559371264 ③https://twitter.com/BittelJulien/status/1273552760051507201
インタビューのポイントの以下の通り。「ウォール街のランダム・ウォーカー」でおなじみの内容もあれば、さらに一歩踏み込んだ内容もあります。
(1)長期投資:マーケットを予測することは難しい。タイミング(timing)をはかって投資するのではなく、時間(time)をかけた長期投資で複利効果を追求するべき
(2)分散投資:優れた投資家でも、マーケット全体を上回るリターンを上げることは難しい。ウォーレン・バフェットですら、ここ10年はマーケット全体に勝てていない。マーケット全体に分散して投資すべき。
(3)積立投資:コロナ・ショックの最中の3月に「今、株を買え」と声を挙げたのは、個人投資家はそのような時に「これは耐えられない」と考えてしまいがちだから。タイミングを分散する「積立」でリスクを和らげることも有効。
(4)コスト:パッシブなインデックスETFを活用すれば、個別の銘柄の投資と比べて印紙税などの手数料も節約できる。(注:印紙税は米国の株式投資に都度かかる税金です。)また、アクティブ投資と比べてもコストが低い。
(5)価格発見機能:投資信託の半分以上がアクティブファンドだが、100%インデックスになっても良い。その場合でも、個別の株式に投資する投資家によって株式市場の価格発見機能が維持されるため、市場の効率性も保たれる。(注:これはマルキール教授に対する批判への反論であり、再反論もありそうです。)
(6)株式中心:各国の財政出動と金融緩和により、現金への信認が失われ、インフレが起こるリスクがある。若い世代は、株式中心で良い。(注:本記事には書かれていませんが、マルキール紙が取締役を務めるバンガード社は、若い世代には90%近くを株式に投資するよう勧めています。)
マルキール教授は、著書「ウォール街のランダム・ウォーカー」の中で、資産運用会社バンガード社の取締役やロボアドバイザー「Wealthfront」のCIOを務めていることも明記しており、読者への利益相反のリスクに注意を払っていることも尊敬しています。
確かに個人投資家は、機関投資家のように毎日ベンチマーク対比のパフォーマンスを報告する義務がないので、「タイム」を見方につけ、いわゆる「ガチホ」で複利を生かせますよね。
特に、記事にある通り、リスク耐性がある若者(→ 一時的に損をしても回復まで待つ時間があり、本業の収入もあるので)は、株式投資に向いているという考え方は、米国でも一般的になっています。近年では、この考え方を使った年齢によって株式等の組み替え比率を変える「ライフサイクルファンド」も人気ぐ高まっています。
因みに、90年代頃までは、実は米国でも個人金融資産に占める株式の比率は10%台と低かったのですが、その後、株式投資が広まり、今や30%台となっています。その過程では、この名著が一定の役割を果たしてきたのでは、と思います。
1973年から投資の歴史的ベストセラーとなっている「ウォール街のランダム・ウォーカー」を見ると、時間の風雪に耐えてきた理論の凄みを感じさせられます。特に、当時はかなり異端とされていたインデックス投資が、世界で1000兆円も運用されるような、メジャーどころか、支配的な存在になったことが一番の証明です。
そして、書籍でもわかりやすく描かれている世界が何度も経験してきたバブルの様相を見るたびに、いろんな欲望が渦巻く中で、コツコツ定期的に分散、インデックスで運用していくことがいかに難しいのかを痛感させられるわけです。
そんなマルキール氏が、コロナ後の投資をいかに考えているのか、直撃しました。ぜひ、ご覧くださいませ。
結果、その生きる権化たるウォーレン・バフェット翁すらすっかり宗旨替えしてしまった事はご承知のとおり、買ったら死んでも売らないと言っていたのに細かく売買を繰り返し、わかるものしか買わないと豪語していたのにIBMもアップルもインドの新興フィンテックも買い、といった具合です。
要するにグロース投資がいまマーケットを凌駕しています。
そのことについても触れないと、バランスが悪い。
そのうえで、投資はある意味で哲学です。バリュー投資の哲学は誤りでも不要でもない、本書は永遠の名著だと思います。
きっとそういう自信過剰なトレーダーが消えないカラクリは、以下だと想像します。
1年目:
トレーダー1「上がる」
トレーダー2「上がる」
トレーダー3「上がる」
トレーダー4「上がる」
トレーダー5「下がる」
トレーダー6「下がる」
トレーダー7「下がる」
トレーダー8「下がる」
結果:上がった
2年目:
トレーダー1「上がる」
トレーダー2「上がる」
トレーダー3「下がる」
トレーダー4「下がる」
結果:下がった
3年目:
トレーダー3「上がる」
トレーダー4「下がる」
結果:上がった
4年目:
トレーダー3「俺は未来が読める。」
もちろん現実には純粋な運だけではないんでしょうが、ここが本質ですよね:
「勝てる人がいない」と言うつもりはまったくなくて、むしろ、市場に勝てるような本当に良いアクティブ・ファンドを選ぼうとしても、実際に勝てる10%ではなく、90%の負け組を選んでしまう可能性が高いということです。
僕はミーちゃんの学費積み立ても年金も100%パッシブです。
インタビュー記事では、相手に対して失礼かもしれないような、ギリギリの質問を当ててもらえると、読者は興奮します。「おれの代わりに聞いてくれてる!」と思えるからです。そして相手が一流であるほど、そうした質問にも動じず、むしろ身を乗り出して説明してくれます。今回のやりとりは、その典型ですね。
債権に注意という話も興味深かったです。かつての経験則が通じない状況に入りつつありますね。。
未来は分からないし、市場が思った通りに動くわけではない。時間やお金は人生の資源そのものでもあるから、悩む時間を自分にとって重要なことに回して機械的に買っていくことは、大部分の方にとって合理的だと思う。
ただ、自分がそうしているかというと全てそうしているわけではない。というのは、自分にとって経済情報を考えることは一種の趣味でも自己投資でもあるからそれが苦にならないこと、そしてリターンにとってマーケットが悪いときに買うことが影響するから。
①は、2014年のPickだが、最も安かったn日買わないと、リターンにどれだけ影響があるかという分析。なのでCash is Kingという叫びが出る時こそ買い続けることが重要だと思っている。一方で、そこで買い続けるためには手元資金が必要。そのうえで現在がどういう状況にあるかというと、かつてなく高い水準にある(②・③)。もちろん環境が急変し、またそれが一気に戻る可能性も否定しないし、それ含めて織り込んでいる部分もあろう。でも高いのは事実。
これだけテクノロジーが進化し続けているのにNASDAQが2000年のITバブルのピークを超えるのはGAFAの拡大を経て2015年までかかった。そしてそこから現在は5年で倍になった、ちなみに2000年のピークからボトムまでは2年半で約1/5。そしてITバブルのピークを起点とすると、ざっくりNASDAQが2倍に対してS&Pは2.2倍と、いまだにS&Pの方がリターンが上回っている。なお、2009年のボトムからだとNASDAQが6倍に対して、S&Pは3倍とダブルスコア。
Time matters, but timing and valuation also mattersだと思っている。
①https://newspicks.com/news/712472
②https://twitter.com/ISABELNET_SA/status/1273576342559371264
③https://twitter.com/BittelJulien/status/1273552760051507201
『ウォール街のランダムウォーカー』の初版から47年経っていますが、まったくブレないマルキール教授の発言は爽快感すら感じます。
今回から始まったMoney Picksシリーズでは、資産運用や金融市場の動向をわかりやすく解説していきます。
株式は長期投資に向いているということ自体は賛成なのですが、複利効果については説明がやや乱暴であり、正しく理解すべきです。それは、「長期間投資することは、リスクとリターンを両方上げる」(同じリスクに対してリターンだけが複利効果で上がるわけではない)ということです。
複利効果と言うことで、一般的には「絶対安心・定期預金」のリスクほぼ0の複利効果を想起させるように思いますので、包括的に説明するのでない限り、複利効果と言うのは避けるべきのように思います。
(以下補足)
rを株式市場の年利(期待値μ(>0)、ボラティリティσ)とし、n年間投資するとすると、nが大きくなればなるほど、複利効果的にはn年後の元本の額(Vn)の期待値は大きくなります。
E[ln(Vn)]=n*μ ※つまり、nに伴い大きくなる
しかし、n年後の元本のボラティリティもそれだけ大きくなります。
Var[ln(Vn)]=n*σ^2 ※つまり、nに伴い大きくなる
世の中には消費者を惑わすマーケティングがあり、n期間のrの平均値E[r]のボラティリティがnが長くなることにより低下すること(Var[E[r]]=σ^2/n)をもって、「長期投資はボラティリティを下げる」と宣伝する人がいるのですが、それは1期間と全期間(n)を混同させており、そんなことはありません。
記事にもある通り、日経平均は30年で全く成長していないですし、昨今の株高の要素の一つとして、日銀やGPIFなどの参入という特殊要因があるのは間違いありません。(永久的に官製市場を続けると信じる人もいるのかもしれませんが)
長期で人口は確実に減少していき、テクノロジー分野では米中に後れを取り、時価総額トップ企業の顔ぶれもしばらく変わっていない、というのを鑑みれば、長期で日経平均にベットするということにはならないかと思います。
幾つか既にサービスがあると思いますが、日本人が海外市場に分散投資が出来る、安価で使い易いサービスが多く出てくることに期待です。