【独占】「今、株を買え」。投資のレジェンドが急かす理由
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「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者であるバートン・マルキール教授へのインタビュー記事。日本のメディアには滅多に登場しないため、驚きました。
インタビューのポイントの以下の通り。「ウォール街のランダム・ウォーカー」でおなじみの内容もあれば、さらに一歩踏み込んだ内容もあります。
(1)長期投資:マーケットを予測することは難しい。タイミング(timing)をはかって投資するのではなく、時間(time)をかけた長期投資で複利効果を追求するべき
(2)分散投資:優れた投資家でも、マーケット全体を上回るリターンを上げることは難しい。ウォーレン・バフェットですら、ここ10年はマーケット全体に勝てていない。マーケット全体に分散して投資すべき。
(3)積立投資:コロナ・ショックの最中の3月に「今、株を買え」と声を挙げたのは、個人投資家はそのような時に「これは耐えられない」と考えてしまいがちだから。タイミングを分散する「積立」でリスクを和らげることも有効。
(4)コスト:パッシブなインデックスETFを活用すれば、個別の銘柄の投資と比べて印紙税などの手数料も節約できる。(注:印紙税は米国の株式投資に都度かかる税金です。)また、アクティブ投資と比べてもコストが低い。
(5)価格発見機能:投資信託の半分以上がアクティブファンドだが、100%インデックスになっても良い。その場合でも、個別の株式に投資する投資家によって株式市場の価格発見機能が維持されるため、市場の効率性も保たれる。(注:これはマルキール教授に対する批判への反論であり、再反論もありそうです。)
(6)株式中心:各国の財政出動と金融緩和により、現金への信認が失われ、インフレが起こるリスクがある。若い世代は、株式中心で良い。(注:本記事には書かれていませんが、マルキール紙が取締役を務めるバンガード社は、若い世代には90%近くを株式に投資するよう勧めています。)
マルキール教授は、著書「ウォール街のランダム・ウォーカー」の中で、資産運用会社バンガード社の取締役やロボアドバイザー「Wealthfront」のCIOを務めていることも明記しており、読者への利益相反のリスクに注意を払っていることも尊敬しています。「ウォール街のランダムウォーカー」は株式に興味を持った人が最初に読む、まさにバイブル的書籍。
確かに個人投資家は、機関投資家のように毎日ベンチマーク対比のパフォーマンスを報告する義務がないので、「タイム」を見方につけ、いわゆる「ガチホ」で複利を生かせますよね。
特に、記事にある通り、リスク耐性がある若者(→ 一時的に損をしても回復まで待つ時間があり、本業の収入もあるので)は、株式投資に向いているという考え方は、米国でも一般的になっています。近年では、この考え方を使った年齢によって株式等の組み替え比率を変える「ライフサイクルファンド」も人気ぐ高まっています。
因みに、90年代頃までは、実は米国でも個人金融資産に占める株式の比率は10%台と低かったのですが、その後、株式投資が広まり、今や30%台となっています。その過程では、この名著が一定の役割を果たしてきたのでは、と思います。同じことを継続するのが、一番難しい、ということに気付かされます。
1973年から投資の歴史的ベストセラーとなっている「ウォール街のランダム・ウォーカー」を見ると、時間の風雪に耐えてきた理論の凄みを感じさせられます。特に、当時はかなり異端とされていたインデックス投資が、世界で1000兆円も運用されるような、メジャーどころか、支配的な存在になったことが一番の証明です。
そして、書籍でもわかりやすく描かれている世界が何度も経験してきたバブルの様相を見るたびに、いろんな欲望が渦巻く中で、コツコツ定期的に分散、インデックスで運用していくことがいかに難しいのかを痛感させられるわけです。
そんなマルキール氏が、コロナ後の投資をいかに考えているのか、直撃しました。ぜひ、ご覧くださいませ。