Apple watchの「心電図機能」というのは、厳密に言うと医療現場で使われる心電図と異なりますが、「不整脈」を検出するのには有用です。中でも心房細動と呼ばれる不整脈は、脈のタイミングをみるだけで割と精度の高いスクリーニングが可能です。さらに心房細動は発見し治療を行えば、心臓の機能低下や脳梗塞を防ぐことに繋がるため、発見によるインパクトが比較的大きいのが特徴。
Apple Watchではないですが、ウェアラブルは様々な可能性を秘めていると考えさせられます。下記は、てんかんの発作がでるまえには皮膚の伝導率が変化することを利用したスマートウォッチ。MITの学生さんがたまたま別の用途で自宅に持ち帰って兄弟につけさせたときに、てんかんと皮膚の伝導率の関係性を発見したのだとか。
生命予後にどれほど寄与するのかはいまだにわかっていないところですが、日本でも使えるようになればメリットを受けられる人がある程度は増えるとは思います。
このApple Watchの心電図機能については、年末年始の大予測の特集で扱わせていただきました。まだお読みでない方はこちらもあわせてご参照ください。
https://newspicks.com/news/4512301
そういう症例の拾い上げに有用なデバイスとなりうります。
精度は約8割なので、Apple watchつけていればぜったい大丈夫というわけではないですが。
その「スマートウォッチ」は、てんかん患者の命を救う可能性を秘めている
https://wired.jp/2018/04/08/empatica-embrace/
また、下記は多分時計の機能はないとおもいますが、パーキンソン患者さんの手につけることで震えを抑制できるというもの。マイクロソフトの研究成果。
テクノロジを通して人々を支援 – ハイアン チャン:パーキンソン病患者の生活を改善
https://news.microsoft.com/ja-jp/2017/12/20/blog-171207-raising-hope-for-parkinsons-disease/
そんなこと滅多にないと思われるかもしれませんが、不整脈でないものも含めれば、例えば失神は生涯で40%の人が経験するという報告もあるほどです。(多くは検査も治療も要らないものでしょうけれど)
もちろん様々な方法で診断しにいくことは可能ですが、特に発作頻度が少ないうちはどんな検査も十分でないことが多いです。
不整脈は発作的なものが多いのが、まさにその診断の難しさです。
もしApple Watchが医療機器として承認されれば、その心電図は非常に有用なものとなりえます。
承認されていないけど脈拍の異常がわかるというのでも良いと思う方もいるかもしれませんが、承認されていない器具で不整脈疑いとなったところで、それを根拠に治療するのは医師としては難しいだろうと予想されます。
滅多にない発作をやっとwearable deviceで捕捉しても、その情報ではさすがに投薬やペースメーカー・カテーテル治療をするわけにはいかない、、、とならないためにも承認と、その精度の研究が重要になってきます。
本来の心房細動の有病率がわかった時にその早期介入で脳梗塞や認知症が予防されるのか、健康寿命が延伸するのか、今後注目されるところです。
Apple Watch、旅行中の男性に不整脈を警告して入院のきっかけに
https://japanese.engadget.com/2019/12/08/apple-watch/
日本で発売されてる大手のスマートウォッチだと、SamsungのGalaxy Watch Active2が心電図機能に対応している。韓国では許可を取得済みで、今年の10月以降に機能が有効化される予定。
『血圧や心電図を測定、スマホでイヤーチップ作成まで――CES Unveiledで見つけたウェアラブルデバイスたち - ケータイ Watch -』
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/event/ces2020/1227/695/amp.index.html
Macお宝鑑定団の記事はこちらです
「Apple WatchのECG(心電図)機能、日本でも使えるように?」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2006/06/news022.html