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銀座高級クラブ物語〜源氏名由来編〜

noteのお題で記事を書いてみます。
「名前の由来」ということで
これをきっかけに銀座の話でも。

(↑写真は僭越ながら私です。)

銀座の世界に飛び込んだのは25歳の時でした。
当時大学時代に組んだバンド活動を続けていた私は
就職を選ばず
ミュージシャンの道に進みました。
クラリネットだけで食べていくのは大変で
いくつものバイトを掛け持ちしながらの生活。
バンド活動は食べられないくせに
なぜか売れてきてとても忙しく
レコーディングやライブが増えたのです。
いくらシフト制のバイトを選んでも
なかなか両立が困難になっていきました。
そんな時、友達から水商売を勧められました。
単純にバイト代が高額で
自由出勤が魅力的でした。

そこで私は親の了承を取ろうと
父親に相談しました。
反対されるかと思いきや
父の言葉は意外なものでした。
「銀座のクラブならいいと思うよ。」
父は少し銀座の世界を知っているようでした。
素敵なママのお店だったら学ぶことも多いし
女性として今後の
人生の役にたつとのことでした。
私は理由がどうであろうと
ただ親の了承が
取れたことに歓喜し
銀座に向かいました。
水商売がなんたるかも全く知らない私は
まさに恐れを知らない小童で
いきなり銀座に飛び込んだのです。
今考えると、無知こそ最強。
スカウトの人に紹介されたお店は
ドラマに出てくるような
華やかで大きなお店でした。
フロアの真ん中にはグランドピアノがあり
綺麗な女性が80人もいる
大箱の有名店だったのです。

そのお店のママに
「あなた、昼間お仕事何してるの?」と聞かれ
「クラリネットを吹いています。」
と緊張して答えると
ママは少し考えた後
「音、、、音乃(おとの)ちゃん!どう?
音乃ちゃんて可愛いじゃない??」
そして私の本名をみたあと
「岩原さんだから、苗字は鈴原でいいわね。
音だから鈴!」
ものの2分ほどで私の源氏名が決まりました。

そもそも源氏名というのがあるのも知らず
のちに源氏名は本名でも良いし
自分でつけても良いものだと知るのですが
本当に右も左もわからなかった私は
みんな同じようにお店のママが名前を
つけるものだと思っていたのです。
本名で商売はじめると上がれない
(辞められない)
という都市伝説もありました。

銀座の女性に苗字があるのも
お客様に贈り物やお手紙を送ることが多いので
苗字が必要になるのです。

こうして「鈴原音乃」は2分で誕生しました。
名付けのママはその後しばらくして
引退してしまったので
私がのちに『ママ』になったことも
知らせることもできませんでした。
15年間使わせて頂き
珍しい名前だったので
他のホステスさんと被ることもなく
時には「お殿様」とお客様にイジられながら
あ、可愛がられながら
態度も大きく育ちました。
素敵な名前をつけて頂き
心の底から感謝しています。

余談ですが
私がママになってから
名前をつけてほしいという女の子がいました。
いよいよその立場が来たかと
感慨深かく、
例にならい私は尋ねました。
「あなた、お昼なにしてるの?」
「何もしてません!水商売一本で頑張ります!」
なんと!早くもマニュアルが崩れる。
「うーん、出身は?」
「徳之島です!」
おお!まさかの島!
もうこれは営業の大きな武器になると
考えた私はすぐにヒラメキました!

「徳之島とく!とくちゃん!いいじゃない?」
(最上モガのスキーム)

女の子「イヤです!」

時代やな。


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