G7サミット、9月に延期 米大統領、参加国拡大意向
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マルチ(多国間)の会議は、本体の会議以上に、公式日程とは別でで行われる各国首脳間2国間会談が重要だったりします。主要国の首脳が一堂に会して、数日間の日程をともにするというまれに見る機会。また、会議が行われる前後の待ち時間や、文化行事の間に首脳同士が、公式会談ではない形で会話もすることも信頼醸成に繋がります。
オンラインでは、この信頼醸成は難しいものがあり、首脳同士が「あの人は信頼できる。こういう性格だ」という感覚を持っていることは、平時の外交はもちろんのこと、リスクが高まるような局面でより重要な意味を持ちます。
こうした成果は、会議の宣言文や各種文書には出てくることはない、目に見えない成果です。まれに、突っ込んだ取材をしたジャーナリストがちらっと書いているケースがある程度で、外にはほとんど見えてこない。
国際紛争は、ちょっとした誤解や思い込みから発生することが少なくありません。その意味で、G7サミットを対面で行う意義は引き続きあると思います。
また、事務レベルでもシェルパ(日本は外務審議官で次官級)といった高官から課長級あたりまで、各国の外交官や官僚の間で連絡が密になり、「電話で話していたあなたですか」という感覚も、外交と安全保障においては重要な要素。
この辺は、一般の仕事でテレワークでも成果は十分に評価することができる、とは少々違う次元のものがあると思われます。
ASEAN首脳会議がオンラインで行われたじゃないか、という指摘もあるかもしれません。ですが、ASEANの首脳が会う頻度はとても高いです。首脳になる前の大臣や議員の時代、あるいは民間人時代にある程度お互いを知っていたり、先輩や後輩からの情報があったりと、すでに人間関係が、良くも悪くも、ある程度出来ているからこそできるものだと思われます。G7に関して、トランプ米大統領は、前週の時点で、原則としてホワイトハウスで行うが、キャンプデービットで行う可能性もあると発言していた。ドイツのメルケル首相は、こうした無定見な発言に拒否を示したのだ。このメルケル首相の拒否を受けて、マクロン仏大統領は、全員が集まることがG7開催の条件だと発言した。それで、トランプ大統領は延期だと言い出したのである。しかも、トランプ大統領は独仏などが気に入らないのか、G7は世界の問題に対処するための代表にはなっておらず、ロシアやオーストラリアや韓国も入れるべきだとも付け加えている。
どうしても対面でやりたいトランプ大統領、とりあえず6月末だとメルケル首相などが来ないと判断して延期したのだろう。ついでにロシア、豪州、韓国、インドも招くと言っているが、そうなるとG20との区別もなくなるし、なんのためのG7かわからなくなる。G6対アメリカという構図が嫌だということだろうが、豪州はともかく露韓印がトランプの味方になるとは限らない。