【10分読書】いま改めて、「資本主義」を問い直す
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宇沢が構想した社会的共通資本。
①大気、河川、海洋、森林などの「自然資本」
②道路、公共交通機関、上下水道、電力などの「社会資本」
③学校教育、医療、金融、司法、行政などの「制度資本」
「こうした社会的共通資本は、利潤追求の対象として取引されてはならないものだ」
資本主義を学びながらも、資本主義にかけている重要な要素を見事に表している。
資本主義の矛盾に気づきながらも、それに代わる新しい主義を見出せず、欲望の資本主義に飲み込まれていく現代社会。スペインで導入が実質検討されているベーシックインカムのような構想もあるが、宇沢の社会的共通資本主義は現代にとって古くも新しい資本主義と社会主義の進化版とも言える。
それをケインズやマルクス経済などの思想経済学ではなく、数式を用いた科学的な観点から導出した点は更に偉大である。大学時代、宇沢先生による経済学の講義を履修しようと授業見学に足を運ぶと、先生は開口一番、「数学の苦手な人はきちんと勉強し直してから、講義を受けて下さい」と言われ、数学が得意ではなかった自分は受講を諦めました。いま思えば、先生の講義を何とかして受けていれば良かった。。後悔してもしきれません
これは西洋と東洋の考え方の違いが根底に影響していると思います。
とても認識しずらいことなのですが、西洋では「対象の周りに背景がある」という考え方が根底にあり、東洋には「背景の中に対象がある」という考え方が根底にある。
なので日本では、自然環境を背景として、その中に個という存在があるというふうに考える。でも西洋ではそれが逆で、自然環境は元々存在するものであり、個は好き勝手に使っていいという考え方がある。
しかしこの宇宙の原理は、入れ子のような構造をしていて、宇宙の中に銀河があり、銀河の中に太陽系があり、太陽系の中に地球があり、地球の中に社会があり、社会の中に人間があるというように、背景から個が成り立っている。背景なしに個は存在できないのだ。
したがって、私は宇沢さんの話が極めて素直に受け入れることができる。また、それを受け入れることで人類は奇跡を起こすことができるのではないかと感じる。たとえば細胞一つ一つには感情がないのに、それが60兆集まった人間には感情があるように。そういう奇跡のようなことを起こすことができる。
私はコロナ危機を迎えている今こそ、宇沢さんの考え方をもう一度見直すべきだし、そうでなければ私たちの人類社会はいずれ崩壊するのではないかという危険さえ感じる。