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EUは新車の平均CO2排出量を走行1キロメートルあたり95グラム以下(21年)に抑える二酸化炭素排出規制を打ち出しており、元々世界一厳しい規制を課していると言われる中で、30年までにさらに規制強化する方針です。
フランスは電力供給の80%を原子力発電所に依存しており、電気自動車に移行すると炭素排出量が劇的に削減されることもあり、元々EVには積極的で、2040年のガソリンとディーゼル車の販売を終了する宣言がされていました。コロナでダメージを受けた自動車業界を再生するにあたって、EVに力を入れることは自然な成り行きです。
さらに、コロナの影響で無人走行への注目度がかなり高まっています。こうした無人のシステムは、加速性が良いEVとも親和性があり、小型化自動運転車のニーズが高まる中で、スペース制約からもEVがよいとされていますので、この点もEVにとっては追い風です。
なお、EUからは、コロナからの復興が脱炭素やサーキュラーエコノミーなどグリーン経済の推進が中心となるべきであるという「グリーン・リカバリー」が提言されていますが、この草案には「クリーンでレジリエントなモビリティ」が含まれています。今後、他のEU国でも色々と動きがあるものと思われます。
国の政策としてスピーディーに「あるべき姿」を提示し、具体的な対策を挙げるフランスの姿勢は、評価されるべきと思います。
この記事でEV拡大が取り上げられているフランスですが、航空会社の救済条件では高速鉄道と競合する国内線の大幅減便を求めたり、自転車利用を促進するためにパリを中心に600kmの自転車道の整備計画を進めたりと様々な施策が動き始めました。
背景については以下のコラムで簡単に紹介しています。ご関心の向きは
https://mainichi.jp/articles/20200527/ddm/005/070/004000c
EVのコストの殆どはバッテリーとはいえ、付加価値の殆どは完成車の段階にあるので、私は単純にルノー救済策だと捉えています。
また、ゴールドマン・サックスが指摘しているように、
https://twitter.com/nuribaon/status/1264889050705489922?s=20
現在の原油安によるシェールオイルの崩壊に加え、2021年から2015-2016年の原油安の影響が出始め、非OPEC産油国のプレゼンスがどんどん落ちていきます。
そうなれば、再び石油供給の問題にぶちあたるので、フランスとしてはいち早く石油依存の脱却を加速したいのではないでしょうか。
>6月1日からはガソリン車から低公害車への買い替えに3000ユーロ(約35万円)、EVへの買い替えには最大5000ユーロも助成される
このような買い替えインセンティブは、程度にもよりますが、EV購入者のリピーターではないので、単なる補助金と比べ、市場の転換に劇的に効きます。
よく言われるように「二兎を追う者は一兎をも得ず」という可能性が高いと思います。
今回の新型コロナウィルスで「脱炭素社会の実現の限界」がわかってしまい、かつ「原油価格の暴落」も同時発生してしまったので、人々の経済意識を、フランス政府が思う報告に誘導することは難しいのではないでしょうか?
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません
なお、ドイツがやるよりフランスがやる方が、原発依存度の高さゆえ、理にかなっていると自分は思う。原発の是非自体は置いておいて、ドイツは石炭発電が多く、EV化しても温暖化ガス換算ではメリット少ない構造(数値まで計算していないが…過去にPickした気もする)。
とはいえ、電池事態についてはMatsunagaさんがコメントされているように有力プレイヤーが思い当たらず。日本・韓国・中国系と外交面含めてパートナーシップを組んでいく必要があると思うし、そこを巡る色々な駆け引きも注目。欧州の域内貿易含めて、どの国に電池バリューチェーンを作るかという議論にもつながるので。
この記事にあるEVとPHVを合わせた車両の販売シェアは仏10.9%は、他国と比較して突き抜けている。
欧州の新車販売、EVの割合上昇 1月、仏は8%超:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55311200W0A200C2000000/
新型コロナがEV拡大のきっかけだったと言われる日が来るのかもしれません。