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もちろん全てが高リスク貸出ではないものの、今後地銀の資本余力は大きく減少しかねません。今回の措置は、極めて妥当でしょう。
なお、一部の銀行は、決算発表で近い将来の株主還元拡大意欲も示していましたが、当面の優先順位としてそれは難しいのでは…と考えます。
まず、メガバンクや地銀・信金など地域金融機関等が地域のコア企業と考える融資先に対して、コロナ禍による資金繰り難や業績の一時的な悪化に相当する分を潤沢に融資する。既に金融検査マニュアルは廃止され、引当方針は各行の経営判断に委ねられている。たとえば、ある地域の銀行等が、「地元の中小企業に対して将来を見据えた支援をし、業績不振先であっても再生支援を強化して融資を続ける」という経営方針を取ったとすれば、実際の営業現場でどのような工夫をしてそれを実現しているか次第で必ずしも不良債権に分類する必要はないと言える。その点を改めて金融庁が確認することが大事だ。
次に、コロナ禍が一段落すると思われる1-2年後を目途に、各行が当該融資先の正常収益力を確認し、たとえば償却前利益の10年分以上の過剰債務になっている場合は、その分の債務免除をするか、あるいは、当該貸付債権を時価で民間の投資ファンドなどに売却する。投資ファンド等は買い取った貸付債権を株式に転換するか、時価までの債務免除をして時間をかけて回収すればよい。銀行や投資ファンドによる債務免除は、資本性資金の投入と同じ効果がある一方、国や銀行が企業の株主になったり劣後ローンを抱えたりする必要がなくなる。
最後に、国はこの措置によって自己資本が毀損した銀行等に対して公的資金を投入する。その際には、銀行等の経営責任は問わないこと、国が議決権を持たないことが必要だ。可能であれば、優先株などではなく、資金贈与による資本充実を図ることも検討に値する。バブル崩壊後の90年代から2000年代前半にかけて、政府は、5つの根拠法に基づき合計約13兆円の公的資金を銀行に投入した経緯にある。2019年3月期には、全国銀行では不良債権予備軍とも言える要注意先債権が約29兆円あることから、仮にその半分が回収不能になるとすると、バブル崩壊時と同程度の公的資金が必要だ。
個人事業主を含む中小企業が企業数で全体の99%を大きく超え、従業員数でも約70%を占めるのが我が国の産業構造の特徴です。新型コロナウイルスによる経済活動の一時的な停止でこれらが倒産すれば日本の雇用と成長の根が傷むので、再生力のある企業を支援して未来に繋ぐことは重要です。その意味で、一つの方法ではあるでしょう。
一方、事業の数か月程度の停止は様々な原因であり得ることなので、それへの備えは本来、各企業の責任で、突発的な事態を緊急融資で救うにしても、事業が正常に戻れば利益を上げて返済できる企業であることが重要で、未来永劫返済できない収益力の乏しい企業、いわゆるゾンビ化した企業を税金で救うのは本末転倒です。そこまで踏み込んだら、我が国の企業と産業の新陳代謝を妨げます。普段から取引のある地方銀行経由で行う融資はスピード感が出る点で優れていますが、不良債権化することが明らかな先にまで政府が誘導して融資を強要すると、あるいはゼロ金利政策の下で融資採算の低下に悩んでいた地方銀行が政府の支援を当てにして野放図な融資を行うと、後者の弊害が強まります。今回の問題がいつまで長引くかにもよりますが、26年3月まで公的資金注入の申請を認めるということは、コロナウイルスが去って経済が正常化したのちも返済能力が乏しい企業に課し続けることに繋がりそう。
それにしても、様々な補助金や制度金融があるなかで、パッチワーク的に次々支援策が出て来るのは何とかならないものなのか。支援プログラムは分かり易く統一されたものに集約すべきであるように感じます。
#スカイマークはコロナに負けない
イベントによりこの枠組みが延長・増枠されてきたことは理解できるが、その背景にあるのは、イベントによるシステミックリスク回避ということではなく、地域金融機関のじわっとした体力低下への安全弁というのが当局にとっての本質的目的ではないか。
こういう対応はいつまでも続くものではないので、地域金融機関の皆さんには枠にはまらない発想で、地域経済の再生のために思い切ったチャレンジをしてほしいと切に願う。
"公的資金の申請期限を2022年3月から26年3月まで4年延長するほか、公的資金の枠は12兆円から15兆円に3兆円増額する方向。金融機関に経営責任は問わない"
とくに地銀が不安が少なくなるような日銀および政府の施策が必要でしょう