【論文PICKS】未来のクスリは、体内で作ることになる
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東京医科歯科大の位高教授がmRNA創薬のポテンシャルを示す論文紹介と展望を解説しています。非常にわかりやすいかつおもしろい!
癌細胞の由来は私たちの体の中の健康な細胞です。これに遺伝要因と環境要因により遺伝子変異が入り癌化に至ります。免疫細胞は常に体をパトロールして出る芽を潰し続けているのですが、それをも乗り越える性質を獲得した細胞が勢力を増していくのです。免疫細胞にとって癌細胞が厄介な理由はやつらが元健康細胞であった事にあります。なぜなら免疫の大原則は"自己は寛容し非自己は攻撃する"だからです。
そこで今着目されているのが記事に登場する"ネオ抗原"。健康細胞と癌細胞を比較して、癌細胞だけが持っているタンパク質(つまり体にとっては非自己)を狙い撃ちするわけです。ターゲットさえ決まれば、あとはツールを何にするか、そこで使用されようとしている手段の1つがmRNAなのです。
自作で恐縮ですがご興味ありましたらご覧ください。
3分動画解説: セントラルドグマ
(DNA→RNA→タンパク質)
https://youtu.be/sOUUogTVvO04月に始まった、注目の論文をレポートするPaprePicks。今回は新型コロナのワクチン開発で、世界的な注目をあつめている、mRNAがトピックです。コロナだけではなくて、ガン細胞なども、これによって治すための研究がすすんでいます。
ちなみにナビゲーターである位高先生は、とてもトークの面白い方でもあります。北斗の拳の原作者と対談した時に、ケンシロウが秘孔をついて相手を倒す(細胞を壊す)技について、研究者としてマジメにレスしたという話が記憶に残りました。笑コロナを機に、今まで以上に体の仕組みや健康に興味を持たれた方も多いと思います。今回のPaperPicksは、体内に「設計図」を送り込むことで体をお薬工場にしてしまおうという発想の、mRNA医薬を取り上げます。
これが実現すれば、「血管が詰まって心筋梗塞になるなら、血管をメキメキ増やしてしまえばいいじゃない」といった新たな治療アプローチが可能になるとのこと。今後もぜひ注目していきたいです。