この連載について
総合商社のビジネスモデルが転換点を迎えている。非資源事業で安定的に稼ぐ構造へとシフトを進めてきたが、いまだ資源価格の影響を強く受ける体質であることが、2019年度決算で明らかになった。総合商社のビジネスモデルは今後、どのような方向に進んでいくのか。社会に新しい価値を提供することができるのか。大手5社の最新の動向を探る。
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三井グループの総合商社大手。生活産業、化学品、エネルギー、金属資源、機械・インフラ事業などを展開。特に鉄鉱石、原油の生産権益量で高いシェアを有するなど、金属資源分野に強みを持つ。
業種
総合商社
時価総額
10.8 兆円
業績
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これまでは資源に手を出せるのは巨大な資本とつながりを持っていた商社に限定されていた。だから、商社は強かったわけですが、それはあくまでも資源がない日本の中で有利に働くだけで、資源を近場に持つ世界からすれば有利とは言えないわけです。
商社の根本は問屋ですが、この問屋というのを無くして産業構造をスマートにしようというのがこの20年くらいのテクノロジーの使い方でした。テクノロジー企業がバンバン発展していけば、商社が不要と言われるのも当然です。そして、この商社や問屋が抱える根本的な弱点として、彼らは最終的な顧客と接点がないというところだと僕は思います。
彼らの直接の顧客は商品の卸先である企業です。しかし、どんなものも個人がほしいと思う欲求があってお金が流れる経路が出来上がるわけです。
個人の欲求というのはものすごく繊細に、ものすごい速度で変化し続けています。しかし、そこにサービスを提供する企業はそう簡単に変われません。だから、タイムラグが存在する。そして、商社はそのさらに後ろとなる。故に商社が肌で感じる変化というのはいつも遅い。こんなふうになるわけですよね。
生き残り続けるためには、個人の変化を捉えて、先回りして彼らの言葉に出ていない欲求を形にしてあげて「それが欲しかった」と言わせること。ビジネスのキープレイヤーとなれる企業はこれをやってきました。だから、勝ちたいと本気で思うなら商社は個人と触れる接点を作らないといけないし、個人をかるんじてはいけないんです。
そして、なにより単純にこれからの時代に必要とされたいなら「次はなにを仕掛けて来るんだ!?」と思わせられるくらいのワクワク感を持たせられる面白い企業になることが大事なんだと思いますね。
ちなみに、純利益で数千億円規模の利益を上げてますが、単体では5大商社とも営業赤字。もうトレード(貿易)では利益を生めなくなっています。
最も大きな課題は、企業規模が巨大過ぎること。数ある社内カンパニーがサイロを壊しつつ、一緒にDXを果たせるか?ここに尽きるのではと考えている。すなわち、一人の同じ消費者が車を買い、アパレルブランドの服を買い、病院に通い、そしてコンビニで数百円の買物をする。これらの消費全てに総合商社が絡む。だから総合商社はB2CのDXの宝庫だ。
一見華やかな総合商社ですが、1980年代に「商社不要論」に晒され、2010年代半ばには資源価格下落の憂き目にあい、とシビアな局面に繰り返し直面してきました。そして現在もまた、新しい課題に直面し、変革を迫られています。それはどんなものか。特集を通じて追いかけていきます。
個人的には対面コミュニケーション推進派だったのですが、実際に遠隔でケースディスカッションとかを体験してみて、過去の思い込みを多々反省しています。「ウェブのケースディスカッションは疲れる」といわれるのは、おそらく学生の表情、発言、しぐさに集中しているからで、これまでのクラスでは結構ゆるくやっていたのかもしれません。せっかくの機会なので「きったはったの交渉・議論」「信頼」の本質って何だろう、対面の本質って何だろうなんて考えているところです。
テクノロジーは産業構造を大きく変えたり、産業間の敷居を溶かしたりするので、総合商社がデジタルに力を入れるのは当然と言えば当然ですが、デジタルのケイパビリティが総合商社の競争優位性・差別化要因になるとは想像しにくい。記事にも出ている通り、様々な産業の「現場」を持っているから、テクノロジーの適用場所がたくさんある、というのは本当でもあり、言い過ぎな部分もある気がします。特に海外の事業投資で総合商社が、オーナーシップをもって操業している事業は実はそこまで多くは無いはず。
最初の話に戻ると、今期は総合商社も厳しい状況に立たされると思いますが、だからこそマーケットに出てくる優良案件に「逆張り投資」するというのが、総合商社の強みを活かす最も分かり易い打ち手ではないでしょうか。特に三井物産が強い、金属資源・エネルギー分野ではそうした動きが取り易いと思います。
また、ファンド投資とは一線を画した事業投資を謳っていることから、「長期保有」が暗黙の前提となっていますが、「逆張り投資」で安く仕入れた案件を、市況の回復時に高値で売却する、という柔軟なポリシーも必要ではないかと思います。
自分より上の世代の商社マンといえばジェラシックパークから飛び出てきた恐竜や動物のような肉食系で、海外ビジネスを自ら切り開いてきた武勇伝をたくさん持っていました。
いまはそんなユニークが人材はスタートアップなどに分散するようになっているため、総合商社に入る人材も優等生が増えてきたと感じます。
昔ながらのフロンティア精神そのものは、いつの時代もエッセンシャルなので、そのような商社DNAをいかに受け継いで生かしていくのか。そんなことが総合商社に問われているのだと思います。
かつて世界から資源や製造設備を輸入して国内で売り、国内の完成品を世界に輸出して羽ばたいていた花形の総合商社ですが、私が銀行で新入社員から中堅へと進む1970年代くらいから、自動車、精密機械、電機など圧倒的に強くなった日本の製造業が自力で世界を相手に取引をはじめ、商社が担っていた“商社金融”も銀行の資金にゆとりができて役割が薄れ、無用論が盛んに言われるようになりました。
一時は消えてしまうかとまで思ったけれど、いつのまにか川上の資源とコンビニなど川下の消費者に近いところに積極的に投資して、大きな復活を遂げていた。「資源も、もっと消費に近いところも、人流と物流が蒸発したことで需給のサイクルが寸断されてしまいました」とのことですが、今度はそれへの新たな挑戦ですね (@_@。
「横連携で新しいことをやって、バリューを生み出さない限り、グローバルな競争の中では勝てません」とありますが、川上から川下まで全てを担う総合商社のバリューチェーンはある意味で日本経済そのものの縮図かもしれません。明治時代から続く日本独特の総合商社というシステムは、日本経済の歴史を反映しているように感じます。商社が無用になるときは、世界にとって日本経済が無用になる時かもしれません。デジタルトランスフォーメーションの時代に向かって商社自らのみならず、日本の変革にも大いに貢献して欲しいと念じます (^.^)/~~~フレ!
『単なる足し算ではコングロマリット・ディスカウントに負けてしまうので、どうつなげていくのかが、腕の見せ所です。』
当社も含めてネット上場企業も多角化を進めていく中で、同じ問題に直面。大きな成長ストーリーにどう落とし込むか悩ましい。