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タイトルの「正反対の結果」というのはやや誇張表現だと思います。
中国の臨床研究では「レムデシビル投与群と非投与群では死亡率の有意差なし、ただ症例数不足のため十分な評価はできない」、アメリカの臨床研究(ACTT試験)では「回復までの日数は11日 vs 15日と有意差をもって短く、死亡率はレムデシビル投与による改善する傾向はみられるが統計学的な有意差はなし」というのが大雑把な解釈で、正反対というわけではありません。

記事の中で紹介されている「3た論法」は、コロナの治療薬に限らず医療ニュース全般で言えることで、常に気をつけておく必要があります。

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薬は何をもって「効いた」と判断されるのか。
これが難しい論点であることを示す話がある。「3た論法」だ。薬を使って症状が良くなったとき、「使った、治った、効いた」(3つの「た」)と単純に評価してしまうロジックを指す。その薬を飲まなかったとしても自然に治っていたかもしれないし、併用していた他の薬が効いたのかもしれない。「3た論法」では、本当にその薬が効くかどうかは判断できない。
この論法を使うと「雨乞いはすべて当たる」ことになってしまう。ずっと雨乞いをし続けていると、いつかは雨が降るからだ。
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本記事は誤解を生みかねない表現を含み、注意が必要です。

まず、タイトルは誤りです。「治験の結果」は決して「正反対」ではありませんでした。「正反対」だったのは、それを伝えた報道だけであって、結果報告自体に目を向ければ、どちらかといえば「同質」でした。

中国の試験結果で「統計学的有意差が示されなかった」ことから、「薬は有効ではなかった」と言うことはできません。しかし、報道では、そのように伝えられてしまいました。実は、それにこそ問題があります。

「有意差が示されなかった」結果は、「薬が有効か無効かはこの試験では分からなかった」ということだけを意味しており、「有効ではない」「無効である」ということを意味しません。記事では「効果なし」と言ってしまっていますが、「効果なし」を証明するには、本来別個の非劣性試験が必要です。

これは、米国の試験の中間報告でも同様であり、「症状の改善の早さ」は認められたものの、最も知りたい「致死率」については、統計学的有意差が示されなかったことを伝えています。

両者は同質の問題を抱えていて、後者は中間報告なので当然ではありますが、差を示すのに足る十分な数の被験者で検討できていません。このため、そもそも正当な評価ができないのです。

また、本来対象患者や薬の投与のタイミングが異なる複数の試験結果を抽出して比較するのも不適切で、それぞれ別のテーマを扱った別の試験と捉える必要があります。薬が一緒だから試験も全て一緒ではないのです。

ただ、一つの試験が全ての真実を導くのではない、ということは知っておくべきことと思います。真実は数多くの試験の積み重ねによって導かれるのです。
ヘッドラインでミスリードしている記事をよく見かけますが、これについてはミスリードではなく『間違い』。

『治験の結果が正反対』ではなく、結果は同等でも『結果の解釈、報じ方』が正反対だった、ということ。

正しい情報を選別することが本当に大変な時代だなと痛感。
レムデシベルを例にとりながら、臨床試験において「効果があった」という判断をするのがいかに難しいかが分かりやすい。