【週末に読む】歴史を学べば、世界の「今」がもっとわかる
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中国については「一党支配だから効率的に対処できる」といった短絡的な理解をすると、この国については見誤ります。一党支配の国など中東やアフリカに何十もありますが、いずれも中国のように対処できはしません。もっと他の要因があります。
まず、中国は人類の歴史のほとんどを通して、圧倒的に精緻で大規模な官僚制を持ち、それを支える知識・教育体系を持った国です。官僚制には功罪はありますが不可欠なもので、それがフルに稼働した時の対処力は他の追随を許しません。
次に、中国共産党は歴代の王朝と比べてもはるかに草の根レベルの統治と管理を張り巡らしています。共産党の地域や職場レベルでの委員会と呼ばれるものですが、これほどに社会の隅々まで統制・動員できる一党支配というのは、中国くらいです。この草の根の統制と動員が、デジタル監視体制などよりも大いに力を示しました。
移民労働者のコミュニティや職場(建設現場や工場、市場、集合住宅など)に感染クラスターが形成され、対処されることなく感染が拡大している、というのはシンガポールだけではありません。サウディアラビアやUAEであまり表沙汰にならないで拡大中の感染も同じ構図です。
国籍保有者・先住民の感染は比較的少なくても、移民労働者の間では感染が急拡大している、という構図は、経済が移民労働者に依存している国では多かれ少なかれ共通していて、フランスのみならず、英国やオランダ、ベルギーでもかなりの程度いえることです。
実のところシンガポールは徹底した隔離・管理ができるうえに死者数を圧倒的に抑えられるだけの医療資源があるだけかなりましです。移民労働者の人数がはるかに多いマレーシア、タイなどでは、移民労働者の間の感染急拡大は、先週からようやく認識されて検査が始まったくらいです。マレーシアでも、一つの工場で検査してみたら外国人労働者が百人近く感染していた、といったケースが連日出ています。
同じ東南アジアでも感染拡大の過程や政府の対処が、なぜ国によってこれほど違うのか、というのは、私も今学期の授業の大きなテーマで、長期的に歴史や社会、政治、経済を理解することで何がわかるのか、ということも説明したいところです。若い頃から、アメリカの会社でアメリカで
働き、外資系の日本法人の社長を経験した
自分は、グローバルな感覚と思っていたが、
ドイツでドイツの会社で働いて、グローバル
の勘違いをしていたかを思い知りました。
繰り返しますが、日本法人で赴任するのと、
その国の会社で働くのは、全く意味が違います。
違和感に苦しみますが、大体3ヶ月で慣れました。
そこで大切なのは、その違和感の原因を
自分で追求していく事です。
出来れば、直接その国の歴史を勉強したり、
その国の人と話をする事です。
誰かに解説してもらうのでは無く、
自分が感じる違和感の原因を自分で追求する事が、
常識を理解し、その壁を越える事になります。
最後に、どこの国でもステレオタイプが存在します。
日本でも、他国についてこう言っておけば、皆納得する
様な偏見が存在します。
偏見を乗り越えるには、人から教えて貰う事を
やめなければなりません。どう考えても外出自粛もソーシャルディスタンスも徹底されているとは思えない日本がどうしてこんなに感染者に対する死亡率が低いのでしょうか。本当に疑問です。
◇5/2時点 Googleモビリティ統計リテール&レク施設の減少率
マレーシア▲80%
イタリア▲78%
フランス▲78%
シンガポール▲67%
日本▲55%
南アフリカ▲54%
ニューヨーク▲51%
カリフォルニア▲50%
ドイツ▲46%
大事な食に関わるデータでは、真ん中ほど。各国同様、レストランやレク施設は休業されているのでマイナスは実感できます。しかしスーパーは、入場制限がない中、各国と比して狭い通路は人でごった返しています。実感では、逆に増えているのではないでしょうか。
◇5/2時点 Googleモビリティ統計 仕事場の減少率
シンガポール▲54%
イタリア▲52%
フランス▲46%
マレーシア▲45%
南アフリカ▲35%
ニューヨーク▲38%
カリフォルニア▲32%
日本▲30%
ドイツ▲20%
仕事場で言えばリモートワークが一般的でない日本は、想像通りの外出自粛率の低さ。会社にまだ行っているということですね。電車通勤で社内は個室やパーティションもなく、平均4坪の一人当たりのオフィススペースは先進国比で低く、社内でのソーシャルディスタンスは狭まりがち。
医療体制が高度なのか、ソーシャルディスタンスが狭い国柄だからこそ獲得している抗体が多いのか、予防接種の種類がたまたま効いたのか。
日本、そしてドイツは、データを眺めていても謎ばかりです。